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2020年10月1日(木)

概算要求に少人数学級

文科省 実現求める世論が後押し

 文部科学省は29日、2021年度予算案概算要求を発表し、公立小中学校での少人数学級の実現のための予算を、金額を明示しない「事項要求」として盛り込みました。

 日本の1クラスあたりの平均在籍数は世界でも突出して多く、新型コロナウイルス対策で社会的距離の確保が求められるなか、少人数学級実現を求める世論が大きく高まっていました。コロナ危機のもとでの分散登校を通じて教職員や保護者が少人数学級の利点を実感したことも、世論を後押ししました。

 日本共産党の志位和夫委員長が6月の衆院予算委員会で少人数学級の取り組みの加速を求めたのに対し、安倍晋三首相は「検討していきたい」と答弁していました。

 文科省は21年度概算要求に、義務教育標準法に基づく学級編成の標準の引き下げを含めた「少人数によるきめ細かな指導体制の計画的な整備」の検討を明記しました。学級編成の標準は民主党政権下で小学1年のみ35人に引き下げられたものの、小2~中3は1980年以来40人のまま。文科省は15年度までは標準法の見直しを概算要求に盛り込んできましたが、安倍政権下でことごとくつぶされてきました。

 今回の概算要求も、最終的に予算が通るのか、通ったとして学級編成の引き下げ幅がどうなるのかなどは予断を許しません。

 文科省は1クラス30人以下の学級編成に10年かけて移行する場合、追加で必要となる教員数を8万人程度と試算。萩生田光一文科相は29日の記者会見で、少子化で今後10年間で5万人の教員が余剰となり、少人数指導などのために追加配置している教員も3万人いるため、「一定期間かけて段階的に進めれば、大きな財政負担なく実現が可能だ」と述べました。教職員の抜本的な定数改善がなければ、長時間労働に拍車をかける恐れがあります。

 文科省はまた、高校の学級編成の標準の見直しは概算要求に盛り込みませんでした。


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