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2020年10月1日(木)

なくすな大阪市

特別区の財政収支 黒字になる根拠なし

住民サービス切り捨てに

 大阪維新の会代表の松井一郎大阪市長は、大阪市を廃止し四つの特別区に分割しても特別区の財政収支は黒字となり、住民サービスは維持できるかのように主張しています。これは、財源が府に吸い上げられることや、特別区設置コストに加えて、新型コロナウイルスの影響を無視した議論です。(大阪府・生島貞治)


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 新型コロナの影響で、大阪市は来年度の税収が、今年度に比べて500億円減少し、637億円の収支不足に陥る見通しとなっています。この数字は2008年のリーマン・ショックの影響を受けた09年度の前年度比472億円減以上の税収減です。また、大阪メトロ(地下鉄)は、コロナ禍で、20年度第1四半期(4月~6月期)で62億円もの赤字に転落しています。

 ところが、松井市長は、新型コロナ前の経済や税収を前提にした「特別区」の財政シミュレーション更新版を使って、特別区に移行させようとしている25年度~39年度の特別区は「収支不足なし」と描き出し、「住民サービスは維持できる」としています。

 この「収支不足なし」は、コロナ禍による経済状況の悪化と大幅な税収減を計算に入れず、大阪メトロの配当金・市税見込み額の大幅な上乗せやプール、スポーツセンター、こども子育てプラザに老人福祉センターまで削減した17億円を計上してはじき出したものです。

 松井市長は、コロナの悪影響は25年度までは続かないかのような甘い見通しを口にしていますが、大阪市ではリーマン・ショックで大きく落ち込んだ税収を、リーマン・ショック前の水準に回復するまで8年という長期間を要しました。(グラフ)

 新型コロナ危機は、リーマン・ショック以上ともいわれており、特別区設置をもくろむ25年以降、財政が黒字になる根拠はどこにもありません。

 松井市長は「財源不足なら国が補填(ほてん)する」と説明していますが、借金急増の国が全額補填することはあり得ません。

 このままでは、「特別区」には財源が不足し、財政シミュレーションでも市民プールや子育てプラザなどの削減が明記されているように、政令市大阪独自の住民サービスが切り捨てられることになります。

 「都」構想をやめれば、「特別区」の設置コスト1300億円(15年)を使って、住民サービスの充実ができます。


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