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2020年10月10日(土)

日本学術会議人事 16、17年も官邸介入

途中で説明要求、候補に難色

大西元会長が証言

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(写真)(左奥の列左から)大西、広渡両氏を招いて開かれた、学術会議任命拒否問題の野党合同ヒアリング=9日、国会内

 日本学術会議が推薦した会員候補6人の任命を菅義偉首相が拒否した問題で、9日の野党による合同ヒアリングに出席した大西隆・東大名誉教授。2016年と17年にも首相官邸が同会議の人事に介入した経過を証言しました。

 大西氏は11~17年に日本学術会議の会長を務めました。

 同氏によると16年4月~9月、学術会議の会員3人が70歳の定年を迎えポストが空席となるため、学術会議内の選考委員会が補充候補を選びました。本来ならこの中から幹事会と総会を経て、会長が候補者を首相に推薦します。

 しかし大西氏によると、この前のいずれかの段階で首相官邸側から「途中の段階で説明してほしい」と要請があったといいます。

 大西氏は「三つのポストについて候補を2人ずつ、1番と2番の順位をつけた状態で官邸に説明として示した」と証言。このうち二つのポストについて、「官邸が1番の候補に難色を示した。理由は明かされなかった」と語りました。

 これを受けて選考委員会が議論しましたが、「定期総会までの時間がなく、選考をまとめることができないと判断した」と説明。空席の補充は断念したといいます。

 決定前の段階で官邸に説明するという判断について大西氏は「会員を任命する首相には選考過程を理解してもらう必要があると思った。説明すること自体はおかしなことではない」と語りました。

 一方で「選考委員会が議論を尽くして順位を付けた候補をもう一度議論しなおすと、それを介入と言うかは別として、影響を受けた状態で議論をすることになる。それはできないということで『時間切れ』という選択をした。苦い経験だった」とも語りました。

 また、17年秋に会員の半数(105人)を改選する際も、選考過程中だった同年6月に官邸に説明に訪れたと証言。この時は、105人の候補に「プラスアルファ」した人数の名簿を示したといいます。

 この時は最終的に、選考委員会が選んだ105人が安倍晋三首相(当時)に任命されたといいます。


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