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2020年10月14日(水)

非正規の賞与・退職金ゼロ

最高裁 是正に背

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(写真)最高裁前で「不当判決」を掲げる大阪医科大学原告弁護団ら=13日

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(写真)「不当判決」と掲げるメトロコマース訴訟の原告ら=13日、最高裁前

 非正規雇用の労働者が正規雇用の労働者と同じ業務をしているのに一時金(賞与)や退職金を支給されないのは違法だと訴えている2件の裁判で13日、最高裁判所は、一時金や退職金を支給しないのは、労働契約法20条の「不合理な格差」に当たらないとする不当判決を出しました。

 一時金の差別を訴えていたのは、大阪医科大学の研究室で秘書のアルバイトをしていた50代の女性。二審の大阪高裁は正規職員の60%を支給するよう命じていました。

 最高裁第3小法廷の宮崎裕子裁判長は「一時金は人材の確保・定着が目的」と限定し、「正規職員は人材活用で人事異動がある」などとして一時金ゼロでも不合理な格差ではないとしました。

 退職金については東京メトロの子会社メトロコマースの女性契約社員らが、駅の売店で正社員と同じ業務をしていたのに不当だと訴え。二審の東京高裁は不合理な格差と判断し正社員の4分の1の支払いを命じました。

 最高裁第3小法廷の林景一裁判長は、退職金は「人材確保・定着の目的」があるとする一方で、原告は「必ずしも短期雇用が前提ではない」とする矛盾した判断を提示。職務も正社員と「おおむね共通する」としながらも退職金ゼロでも不合理ではないとしました。

 これに対し格差は不合理だとする反対意見が付されました。

 それぞれの原告・弁護団は声明を発表。「著しい格差を不合理と認めなかったのは不当。格差是正の時代の要請にも背を向ける」(大阪医科大原告)「判断に大きな矛盾があり、極めて不当。司法の役割放棄だ」(メトロコマース原告)と批判しました。


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