2020年10月14日(水)
杉田副長官以前にも人事介入
前川元文科次官 安保法制反対など理由に
野党合同ヒアリング
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野党各党・会派は13日、国会内で、前川喜平元文部科学事務次官を招き合同ヒアリングを行いました。前川氏は、2016年当時に杉田和博官房副長官から文科省の分科会委員候補2人について、安保法制反対などを理由に差し替えるよう要求された経緯を明らかにしました。
杉田副長官は、日本学術会議推薦の会員候補6人の任命拒否を菅義偉首相に「事前報告」したとされる人物。前川氏が次官在任中、文化功労者と文化勲章受章者を選考する「文化功労者選考分科会」の委員候補2人の「差し替え」を杉田氏から求められました。そのうちの1人は「安全保障関連法に反対する学者の会」への参加を理由にしたものであり、ほかの1人はメディアでの「政権を批判するような発言」を理由にしたものだったといいます。
そのさい杉田氏は「政権を批判する人物を(候補に)入れては困る。官邸に持ってくる前にちゃんとチェックすべきだ」と指示しました。前川氏は「筋が通らない」と思ったものの、同省は差し替えに応じたといいます。
前川氏は、同省の審議官以上の役職や独立行政法人役員の人事も官邸の意向で複数回差し替えたと証言。学術会議会員候補の任命拒否も「その延長線上で考えたのではないか」と指摘しました。
また、文科相が了解した委員人事を官房副長官が覆すことはありえず、当時官房長官だった菅氏に上げていたのは明らかだと指摘。学術会議会員候補の任命拒否も「杉田氏の一存で決められるはずがない」と述べました。
その上で、菅、杉田両氏は日本学術会議法が定める同会議の独立性や自律性、憲法が保障する学問や思想・良心の自由への認識が「極めて希薄だったのだろう」と述べました。