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2020年11月2日(月)

NHK日曜討論 田村政策委員長の発言

 日本共産党の田村智子政策委員長は1日のNHK「日曜討論」で、10月26日に開会した臨時国会の焦点となっている新型コロナウイルス感染症対策、菅義偉首相による日本学術会議の6人の会員候補の任命拒否問題、温室効果ガスの削減について、各党の政策責任者と討論しました。


所信表明・代表質問の評価

 冒頭、臨時国会の序盤論戦について問われた田村氏は、菅首相から今後の新型コロナ対策が具体的に何一つ示されなかったと指摘。暮らしと経済は危機的な状況であり、新たな対策を臨時国会で早急に議論しなければならないと訴えました。日本学術会議の任命拒否をめぐっては、「国民的に批判が広がっているのに、所信表明で何一つ語らず、質問に対しても結局説明できないことが明らかになった。説明できない以上、任命拒否を撤回し、直ちに任命すべきだ」と訴えました。

 自民党の後藤茂之政調会長代理は菅首相の所信表明について「自助・共助・公助」という目指すべき社会のあり方、基本哲学を明確にしたと評価しました。立憲民主党の泉健太政調会長は、新たなコロナ対策が打ち出されず、日本学術会議問題では強引な手法が見えてきたと述べました。

温室効果ガス排出ゼロ

 菅首相が2050年までに温室効果ガス排出ゼロを宣言したことについて田村氏は「宣言が世界で122番目と大きく出遅れているだけに、目標と行動の具体化が直ちに求められる」と強調。「(2030年までの)最初の10年で思い切った削減目標がなければゼロは実現できない。4割以上の削減目標を求めたい」と述べました。

 また、石炭火力発電所を17基新増設する計画を見直さなければ50年にも石炭火発が稼働し続けることになると述べ、「石炭火力は止め、つくらないことを具体的に宣言すべきだ」と求めました。

 排出ゼロへ向け、原発の位置づけをどうするかも議論に。現行の政府の計画では原子力の割合を18年度の6%から30年度に20~22%に増やすものになっています。自民・後藤氏は、脱炭素化に向けて原発も選択肢だとし、再稼働を進めていくと述べました。

 田村氏は「原発にまだしがみつくのか」と批判。政府の計画では、再生可能エネルギーの割合は30年度に22~24%で、現状の20%からほとんど増やしていないと指摘し、「原発にしがみつき、石炭にしがみつけば、再生可能エネルギーの産業化や技術は世界から大きく立ち遅れる」「再エネこそベースロード電源にする大転換を図っていくべきだ」と語りました。

 立民・泉氏も「原発ゼロに向かっていく2050年ゼロなのか、原発を前提にした2050年排出ゼロなのか。与野党大きく分かれている。2050年でも原発が主力電源ではおかしい」と批判しました。

新型コロナ・経済対策

 新型コロナ対策では、田村氏は「今後、日本でも感染拡大が起こりうる。とくに検査と医療で、今度こそ後手に回らない対策を直ちにとるべきだ」と語りました。

 検査体制拡充では保健所の体制の強化を主張。陽性者の保護、接触した人の追跡なくして感染対策はないとして「人員体制が問われる。恒常的な定員増に踏み出すことを示していただきたい」と求めました。医療機関は3月以降の赤字で危機的状況であり、「地域の医療体制が崩壊するような事態では感染症とたたかうことはできない。具体の減収補てんの手だてを」と求めました。

 さらに、「解雇、雇い止め、廃業、倒産の連鎖で大不況を起こしてはならない」と強調。12月末が期限の雇用調整助成金の特例措置について、「雇用を守るために非常に積極的に使われている。感染収束までやると言うべきだ」と訴えました。

 立民・泉氏は、現在の制度を使いやすいものに改めることや、消費税・所得税の減税、困窮者への給付などを主張しました。

 自民・後藤氏は雇用調整助成金について「実態をよく見ながら続けることになると思う」と述べる一方、消費税減税については「消費税は社会保障の安定財源だ」として拒否しました。

日本学術会議人事介入問題

 日本学術会議への人事介入について、国会で菅首相が「民間出身者や若手が少なく、出身や大学にも偏りが見られる」などと説明していることが議論に。自民・後藤氏は「推薦名簿をそのまま任命しなければならないわけではないとハッキリ答弁している」と述べ、公明党の竹内譲政調会長は「総理はきちんと説明しようとされている」と擁護しました。

 立民・泉氏は「説明も二転三転。もはや説明できない状態だ。早期に撤回を」と述べ、国民民主党の舟山康江政調会長も「国会のあり方、民主主義を崩す大きな問題。説明もせず任命しないことは大問題だ」と批判しました。

 田村氏は、任命拒否された6人のうち3人は私立大学の研究者なのに、首相が私大の研究者が少ないと指摘したことに触れ、「支離滅裂で説明になっていない」と批判しました。670もの学会やその他さまざまな団体が任命拒否に抗議する声明を出していると述べ、国際基督教大学長の「対話を欠いた強権的な統治が学問や文化に対して行われることになる」との言葉を紹介。「まともな説明がもはや成り立たなくなっている。形式的な任命であり、推薦されたものを拒否しないというのは、国会答弁で示されている。まさに総理の違法行為ということで今後予算委員会でも厳しく追及していく」と表明しました。

 また、学術会議のあり方にすり替えた議論がされていることについては、「学術会議に対する誤解や偏見をまきちらす発言が自民党議員から行われている」と批判。現在の会員が自分の後任を指名することも可能な仕組みであるかのような菅首相の発言などに触れ、「フェイクの情報、意図的におとしめる発言によって、学術会議や学者の方に対して、まるで戦前の非国民、『アカ』と言わんばかりのレッテル貼りが行われている。すべては6人の任命拒否から始まっている問題です。しっかりと反省して謝罪していただきたい」と訴えました。


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