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2020年11月5日(木)

主張

菅首相の改憲策動

憲法破壊する企てを許さない

 日本国憲法が公布されて74年の3日、国会の正門前をはじめ、全国各地で「憲法を守り、生かそう」「改憲許すな」との行動が取り組まれました。改憲に執念を燃やした安倍晋三前政権を引き継いだ菅義偉政権も、憲法をないがしろにする姿勢をあらわにしています。憲法が保障する「学問の自由」を踏みにじる日本学術会議への人事介入はその典型です。さらに明文改憲に向けて、国会議論を加速させる発言を繰り返しています。「菅改憲」を許さない世論と運動を強めることが重要です。

“安倍流”を受け継ぎ

 菅首相による日本学術会議会員6人の任命拒否は、あからさまな違憲・違法行為に他なりません。この暴挙を撤回させることは焦眉の課題です。

 さらに菅首相は、臨時国会の論戦で改憲論議を推し進める姿勢を隠しません。所信表明演説では国会の憲法審査会での各党の議論を通じて国民的な議論につなげることに「期待」を表明しました。衆参の代表質問では答弁の中で改憲の議論を重ねることが、国民に対する「国会議員の責任ではないか」と主張しました。

 首相自らが改憲の旗を振り、国会での改憲論議をせき立てる菅首相の姿勢は、安倍前首相のやり方を丸ごと受け継いでいます。憲法99条が首相らに求めている憲法尊重擁護義務も、「三権分立」の原則も踏みにじる不当なものです。

 立憲主義にも民主主義にも反する“安倍流”の改憲手法に全く反省がなく、改憲議論を国会と国民に押し付ける菅首相の姿勢には道理がありません。

 主権者である国民は改憲を望んでいません。それは安倍前首相が持ち出した9条の明文改憲をベースにした自民党案がいまだに国会に提示できておらず、衆参の憲法審査会での議論が進んでいないことからも明白です。昨年の参院選では改憲勢力が改憲発議に必要な3分の2の議席を割りました。菅政権に求める政策課題についての世論調査でも、改憲はきわめて少数です。

 菅首相は、自民党の総裁選中から改憲への「挑戦」を強調し、自民党役員人事や国会の憲法審査会の会長人事でも、露骨な“改憲シフト”を敷きました。自民党の改憲推進本部(衛藤征士郎本部長)は起草委員会を立ち上げ、年内をめどに改憲原案づくりを進めるとしています。しかし、与党内からも性急な動きに異論がでるなど矛盾もでています。

 安倍前首相が2017年に言い出した、憲法9条に自衛隊を明記する改憲案は重大な中身です。9条に自衛隊を書き込めば9条2項の戦力不保持・交戦権否認の規定は空文化し、自衛隊が大手を振って、海外で無制限に武力行使することを可能にします。

 戦後75年の日本の歩みを根本から破壊する危険な改憲策動は絶対に認められません。

戦争の惨禍を繰り返すな

 1946年11月3日に公布され、翌年5月3日に施行された憲法は、悲惨な戦争への反省から、「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうすることを決意」(前文)しています。

 この誓いに逆らう菅首相の改憲策動にストップをかけ、憲法を守り生かす政権を実現することが必要です。


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