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2020年11月6日(金)

主張

学術会議 国会論戦

任命拒否の論拠 完全に崩れた

 日本共産党の志位和夫委員長は衆院予算委員会で質問に立ち、日本学術会議への人事介入で、菅義偉首相の姿勢を追及しました。志位氏は、▽任命拒否の理由は全く成り立たない▽日本学術会議法に違反▽憲法の学問の自由に違反▽科学者の戦争総動員という歴史の教訓に反する▽表現・言論の自由の侵害につながる全国民の問題―ということを明らかにしました。首相は用意したペーパーを棒読みするだけで、まともに答えられません。人事介入を正当化する論拠は完全に崩れました。どこからみても道理のない任命拒否は直ちに撤回すべきです。

国民に隠れて解釈改ざん

 首相が拒否理由に持ち出す「総合的、俯瞰(ふかん)的」「バランス」「多様性」などは、50代前半の研究者や女性研究者を排除したことと矛盾しています。それでも首相が「偏りがある」などと非難するのは、全く支離滅裂です。志位氏は、女性や関東以外の研究者比率を高めてきた学術会議の努力などを具体的に示し、首相の弁明の虚偽を浮き彫りにしました。

 そもそも任命拒否は、日本学術会議法に照らして許されるものではありません。同法は条文全体で同会議の政府からの独立を幾重にも保障しています。首相の任命は、「形式的任命にすぎない」「(会議からの推薦を)拒否しない」ことは1983年の同法改定時の中曽根康弘元首相らの国会答弁で明確にされています。この法解釈は内閣法制局と「十分に詰めた」ものと当時政府が明言していることを志位氏は紹介し、菅政権はこの解釈を維持しているのかとただしました。しかし、首相らは「維持している」とは決して言いません。

 首相らは「必ず推薦のとおりに任命しなければならないわけではない」というのが政府の立場だと強弁し、それは内閣法制局の「了解を得た一貫した考え」だと言い張っています。では了解を得たのはいつなのか。志位氏の質問に政府側は「2018年11月15日」と答弁しました。わずか2年前です。「一貫した考え」との言い分は到底成り立ちません。

 04年にも「(首相が)任命を拒否することは想定されていない」と解釈する政府文書も存在しています。「形式的任命」「拒否しない」ことこそが政府の一貫した法解釈だった事実は動かせません。国会答弁で明確に示し、確定された法解釈を、国民にも学術会議にも隠れて内閣の一存で勝手に変える―。クーデター的な法解釈の改ざんという他ありません。こんなことが許されたら、国会審議の意味はなくなり、法治国家は崩壊します。

 志位氏は、憲法15条1項を使った首相の任命拒否合理化論も、国民の公務員の選定・罷免権を首相が奪い取る暴挙だと批判しました。人事介入の違憲・違法性はもはや議論の余地はありません。

日本の歴史の分かれ目

 志位氏は、任命拒否された研究者だけでなく指導を受ける学生も誹謗(ひぼう)中傷される事態が起きていると指摘しました。首相が学問の自由を侵害したことの影響の広がりは極めて深刻です。戦前日本で科学者の組織が独立性を奪われ、軍事研究・戦争に総動員された誤りを繰り返してはなりません。いままさに歴史の分かれ目です。次の世代に重大な禍根を残さないために菅政権を徹底追及する時です。


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