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2020年11月15日(日)

「Cゼミ」で志位委員長が講義 千葉・船橋

党綱領の未来社会論――その核心を語る

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(写真)講演をする志位和夫委員長=14日、千葉県船橋市

 日本共産党の志位和夫委員長を講師に、政治の問題や社会の見方など青年・学生の関心にこたえて多彩なテーマで学ぶ「船橋社会科学ゼミナール」(略称Cゼミ)の第4回が14日、千葉県船橋市内で行われました。テーマは「党綱領の未来社会論――その核心を語る」。志位氏は、日本共産党の綱領がめざす未来社会――社会主義・共産主義について、「その一番の核心に絞って」と断りつつ、縦横に語りました。

未来社会に進む必然性は、資本主義社会の矛盾のなかに

 志位氏は、党綱領は、日本でまず、アメリカ言いなり・財界中心という二つの異常なゆがみをただす民主主義革命をやりとげ、そのうえで国民多数の合意で資本主義を乗り越える未来社会――社会主義・共産主義に進むという大展望をもっているが、「この展望はたんなる願望ではなく必然性をもっている」と強調。その必然性は、私たちがいま暮らしている資本主義社会の矛盾のなかにこそあると語りました。

 格差拡大と環境破壊という世界資本主義の二つの矛盾が、新型コロナ・パンデミックのもとで噴き出し、世界の多くの識者が「資本主義の限界」を言い始めています。

 日本経団連が最近発表した「新成長戦略」では、新型コロナ危機の体験を踏まえて、「利潤追求のみを目的とした…経済活動の拡大は、環境問題の深刻化や、格差問題の顕在化などの影の部分をもたらした」「わが国を含む主要国での資本主義は行き詰まりを見せている」と述べています。このことを紹介した志位氏は「根本的反省はないし、並んでいるメニューは相変わらずですが、財界の総本山までが『影の部分』に言及せざるをえなくなったのは注目です」と語りました。

 志位氏は、こうした矛盾が起こる根源に、資本の利潤をひたすら増やすことを生産の目的・動機とする「利潤第一主義」があることを指摘。「利潤第一主義」が何をもたらすかと問いかけ、(1)社会のあり方として、一方で富の蓄積、同時に他方で貧困の蓄積という格差拡大をもたらす(2)人間と自然の関係に「物質代謝の攪乱(かくらん)」――気候変動や新興感染症の多発などの環境破壊をもたらすことを、マルクスの『資本論』を紹介しながら解明しました。

 そのうえで、「利潤第一主義」という害悪をとりのぞくためには、生産手段を個々の資本家の手から社会の手に移す生産手段の社会化が必要になってくることを解き明かしました。

未来社会の最大の特質――人間の自由で全面的な発展

 志位氏は「未来社会論の最大の核心」に話を進めました。それは「人間の自由で全面的な発展を最大の特質にする社会」ということです。

 これは、マルクスとエンゲルスが、若い最初の時期から晩年にいたるまで一貫して追求し続けた人間解放の内容でした。

 志位氏は、そのことを、『共産党宣言』の有名な一節「各人の自由な発展が万人の自由な発展の条件であるような一つの結合社会」、さらに『資本論』第三部第七篇に書き込まれた未来社会論を詳しく紹介して解明し、次のように語りました。

 「労働時間が抜本的に短縮され、すべての人間に自由に使える時間――『自由の国』が十分に保障されるようになれば、人間は、その時間を自分自身の知的な能力、さまざまな能力をのびのびと発達させるために使うでしょう。すべての人間が、その潜在的な力を自由に全面的に発展させることのできる社会。そのことによって社会全体も大きな力を得て発展する。こういう好循環が起こります。ここに私たちの目指す未来社会の最大の特質があります。『社会主義とは何か』と聞かれたら、こう答えましょう。『人間の自由』『人間の解放』『人間の自由な発展』を可能にする社会と」

発達した資本主義国の社会主義的変革――豊かで壮大な可能性をもった事業

 志位氏は「『人間の自由』といっても、旧ソ連や中国はそれとは程遠い社会ではないか、という疑問もあるでしょう」と問いかけ、「綱領の未来社会論には、もう一つ、重要な核心となる中身がある」と続けました。それは第28回党大会の綱領一部改定で新たに書き込んだ、発達した資本主義国での社会主義的変革の展望です。

 改定綱領では、資本主義の高度な発展がその胎内に未来社会に進むさまざまな条件をつくりだすこと、それらは生産手段の社会化を土台にして、未来社会において発展的に継承されていくことを、「五つの要素」(高度な生産力、経済を社会的に規制・管理するしくみ、国民の生活と権利を守るルール、自由と民主主義の諸制度、人間の豊かな個性)を列挙して、明らかにしています。

 志位氏は、こうした解明が「発達した資本主義国における社会変革は、社会主義・共産主義への大道」ということを理論的に裏付けるものとなり、未来社会のイメージをより語りやすくすることになり、今のたたかいが未来社会に地続きでつながっていることを明瞭にするものともなったことを強調し、次のように語りました。

 「この事業には『特別の困難』もありますが、それを突破した先には、はかりしれない『豊かで壮大な可能性』があります。前人未踏のロマンある道を、どうか若い皆さんが開拓してほしい」


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