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2020年11月19日(木)

主張

待遇格差の是正

非正規労働者の権利保障急げ

 非正規雇用労働者に対する不当な待遇格差を是正するため、日本共産党、立憲民主党、国民民主党、社会民主党の野党4党が共同で改正法案を衆院に提出しました。一時金(賞与)、退職金の不支給を「不合理と認められない」とした最高裁の2件の不当判決(10月13日)を踏まえて現行法を改正する提案です。非正規労働者は労働者全体の4割近くを占め女性では50%以上です。賃金は正社員の3分の1程度と大きな格差があり、是正は一刻の猶予もなりません。

野党共同で改正法案提出

 裁判に訴えていたのは大学のアルバイト秘書と駅売店の契約社員でした。ともに正規雇用の職員、社員と同じ業務をしていました。にもかかわらずアルバイト秘書には、正職員に払われる一時金がまったく支払われず、定年まで勤めた売店の契約社員には、退職金が支給されませんでした。

 最高裁は、一時金、退職金は「正職(社)員としての職務を遂行し得る人材の確保やその定着を図る」ために支給されるとして2件とも非正規への不支給を不合理にあたらないと結論づけました。これでは“会社への貢献度の違い”など事業主の恣意(しい)的な判断で差別が容認されてしまいます。こうした不当な法解釈を許さないために現行法を改める必要があります。

 野党共同の改正法案(短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律等一部改正案)は、非正規の待遇に関して現行法が「不合理と認められる相違」を禁止しているのを「合理的と認められない相違」の禁止に改めます。合理的でない格差があっても“不合理とまでは言えないから違法でない”として容認されないようにするためです。相違が合理的と認められなければ違法であることを明確にし、非正規労働者が平等に扱われる権利をより手厚く守ることにつなげます。

 待遇差が合理的かどうか認定する際の考慮事項から「職務の変更及び配置の変更の範囲」という現行規定を削除します。転勤や人事異動の可能性の違いを理由に格差を容認することを防ぐためです。

 一時金、退職金のうち賃金の後払いや継続的な勤務への報償の性質を含むものについては、職務内容と勤続期間に応じて適切に考慮すべきであるとし、合理的でない相違を禁止します。

 パート・有期雇用労働者に対する事業主の説明義務も強化します。労働者から求めがあった場合、正社員との相違が「合理的と認められない待遇の禁止」に反しないと判断した理由や、賃金その他の待遇、教育訓練、福利厚生施設の利用などの相違について説明しなければなりません。

 格差の是正が正社員の待遇の低下によらないことも基本理念と事業主の努力規定に明記します。

希望持って働けるように

 非正規労働者の「不合理な待遇差」を禁じた現行法は4月の施行に続き、来年4月には中小企業でも施行されます。同一労働同一賃金、均等待遇を実現し、非正規労働者が希望を持って働けるようにするためには、最高裁判決のように逆行する動きを許さない法制度にする必要があります。

 野党共同提案は法を実効あるものにするための改正です。すみやかに審議に入り、成立させることが求められます。


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