2020年11月20日(金)
学術会議問題 菅首相答弁ファクトチェック
「『必ず推薦のとおりに任命しなければならないわけではない』が政府の一貫した考え」
18年以前の記録なし
菅首相は、日本学術会議の推薦名簿通りに任命しなかったことについて「内閣法制局の了解を得た政府としての一貫した考え」と繰り返しています。
では、内閣法制局の「了解を得た」のはいつか―。日本共産党の志位和夫委員長の質問に、井上信治科学技術担当相は「2018年11月15日」と答弁。わずか2年前のことです。
政府は、会員の選出が選挙制から推薦制に変わった1983年以来「一貫した考え方」として、18年の内閣法制局文書は「改めて確認したこと」だと強弁しています。
それが本当なら83年当時に、「政府が行うのは形式的任命にすぎない」という中曽根康弘首相の答弁を、「推薦のとおりに任命すべき義務があるとまでは言えない」(18年文書)と正反対の解釈に変更した経過の記録や文書が残っていなければなりません。しかし、政府は18年文書のような法解釈を示した83年当時の文書が存在しないことを認めています。
04年には総務省が、「首相が任命を拒否することは想定されない」と83年の国会答弁に基づいた法解釈を行っています。一貫してきたのは首相の形式的任命と、学術会議の推薦を拒否しないという法解釈だったのです。