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2020年11月22日(日)

主張

GoTo見直し

政府は根本から姿勢を改めよ

 菅義偉首相が、観光需要喚起策「Go To トラベル」の運用の一部見直しなどを表明しました。政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会が感染拡大地域の適用除外などを提言(20日)したことを受けた動きです。あまりにも遅すぎる対応です。コロナはすでに「第3波」に突入し、感染者は激増しています。医療の現場などからは、早くから事業の見直しを迫る声が相次いでいたのに、あくまで続行に固執し、見直しを拒んできた菅政権の責任は重大です。感染の急速な拡大に真剣に向き合おうとせず、無為無策を続ける姿勢を根本から改めるべきです。

あまりにも遅きに失した

 菅首相は「Go To トラベル」について感染拡大地域を目的地とする新規の旅行予約を一時停止する方針を示しました。外食需要喚起策「Go To イート」も食事券の新規発行一時停止などを知事に求めるとしています。

 「第3波」の感染急拡大が深刻化する中で、人の動きを活発化させる「Go To」事業については、地域を限り実施することなど、大幅な見直しを求める声が続出していました。東京都医師会の尾﨑治夫会長は20日、「一時中断」を提起しました。感染者の急拡大で医療機関がひっ迫することへの強い危機感の表明です。批判の強まりの中、頑として見直しを拒否してきた菅政権も態度を変えざるをえなくなりました。しかし、抜本見直しに程遠いものです。すでに3連休に入り、人の動きは活発化しており、遅きに失した表明です。

 現在の「第3波」は、7~8月の「第2波」が抑えられていないうちに到来したと指摘されています。「Go To トラベル」が感染拡大の「きっかけになった」というのは、日本医師会の中川俊男会長をはじめ専門家の共通した認識として示されています。

 もともと感染が鎮まってから行うはずの「Go To」事業を7月から段階的に拡大してきたことの是非が問われます。感染リスクへの不安がある中で、国策として税金を投じて全国各地に人の流れをつくる政策を強行したことは厳しく検証されなければなりません。もともと同事業には、小規模業者には恩恵がないという問題もありました。苦境に立つ観光・飲食業者には、直接支援が行き届く別の仕組みを至急検討すべきです。全国一律の制度でなく、地域ごとの実情に見合ったやり方に切り替えることが重要です。

 感染を抑止することが、観光業をはじめ地域経済を安定させる土台です。PCR検査の大幅拡充を自治体任せにせず全額国庫負担で支えることや、感染者に接触した人を追跡できる保健所体制を強化することなどは急務です。

信頼できる政治の実現を

 医療機関のコロナ対応支援のために国が設けた「緊急包括支援交付金」総額約3兆円は10月末時点で2割弱しか現場に届いていません。これでは医療現場の疲弊は打開できません。コロナ影響で赤字に苦しむ医療機関への減収補てんの実現は待ったなしです。

 政府に求められる公的役割をまともに果たさず、「静かなマスク会食」などのメッセージしか出せない菅首相の姿勢に国民は不信を募らせています。国民の命と健康、暮らしを真剣に守る信頼できる政治への転換が急がれます。


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