2020年12月9日(水)
コロナ拡大 危機感どこに
政府が追加経済対策73兆円
政府は8日、臨時閣議で新型コロナウイルスの感染拡大を受けた追加経済対策を決定しました。感染再拡大の重大局面にもかかわらず、PCR検査の抜本的拡大に必要な全額国費の枠組みは盛り込みませんでした。受診控えなどで経営難に陥った医療機関への減収補てんや、持続化給付金の再支給など、家計と事業者への支援も抜け落ちています。
政府は経済の好循環のためと称して「Go To トラベル」を来年6月末まで延長するなど、感染防止に逆行する施策を盛り込みました。
追加経済対策の事業規模は73・6兆円で、国費や財政投融資を合わせた財政支出は40兆円。このうち国費は30・6兆円で、2020年度第3次補正予算と21年度当初予算で確保する方針です。事業の内訳は、感染拡大防止が6兆円、コロナ後に向けた経済構造の転換が51・7兆円、「国土強靱(きょうじん)化」が5・9兆円。
直接の新型コロナ対応を行う医療機関向けの「緊急包括支援交付金」を拡充しますが、同交付金の交付は遅れており、多くの医療機関が“すでに借金漬けだ”と悲鳴をあげています。
中小企業の業態転換や事業再編を促す事業再構築補助金を創設します。また、合併や経営統合を行う地域金融機関に対して資金交付制度を創設します。地域金融機関が減って競争が失われ、貸出金利の上昇や貸し渋りを招く恐れがあります。デジタル化の加速に向けた1兆円超の関連予算も盛り込み、大企業を支援します。
低所得のひとり親世帯などに対しては、5万円の「臨時特別給付金」を年内に再支給します。当事者や支援団体が求め、日本共産党や立憲民主党など野党が国会に法案を提出して実現を迫っていたものです。