しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2020年12月17日(木)

主張

日銀の12月短観

コロナ危機に見合う抜本策を

 日本銀行が14日発表した12月の全国企業短期経済観測調査(短観)は、新型コロナウイルス感染拡大にあえぐ日本経済の姿を改めて浮き彫りにしました。企業の景況感を示す指数は改善したとはいえ、依然として低い水準にとどまっています。「第3波」の到来で、先行きの不透明感は一層増しています。コロナ危機で大打撃を受けている国民の暮らしを守り、経済を立て直すために、緊急対策を抜本的に拡充・強化することが必要です。消費税の減税など、危機に見合った施策を決断することが急務です。

依然としてマイナス圏内

 日銀短観は、全国約1万社を対象に3カ月ごとに行われます。景気の現状や先行きを、「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を差し引いた業況判断指数(DI)で示します。コロナ危機に直撃された6月のDIは、リーマン・ショックで落ち込んだ2009年6月以来の低水準へと大幅に悪化しました。9月調査でやや改善し、12月調査も改善となりましたが、とても回復と言えません。

 ほとんどの業種の現状判断のDIはマイナス圏に沈んだままです。代表的な指数とされる大企業製造業では、自動車輸出の増加などから9月調査より17ポイント改善しましたが、マイナス10です。大企業非製造業、中堅企業製造業、同非製造業、中小企業製造業、同非製造業も軒並みマイナスでした。

 来年3月までの先行き見通しのDIも、大企業も中堅企業も中小企業も製造業・非製造業すべてにわたりマイナスです。とりわけ非製造業は、企業規模にかかわりなく悪化に転じました。11月以降の感染急拡大を受けて、飲食や宿泊などの割合が多い中小企業での見通しの悪化が際立っています。設備投資や新卒採用計画も全規模全業種で前年度を下まわっており、コロナ危機の長期化は必至です。

 日本経済は、安倍晋三前政権の経済政策による貧困と格差の拡大、消費税の2度にわたる増税で消費不況に陥っていました。そこにコロナ感染が大きなダメージを与え、危機的事態を招いています。

 感染抑止のため医療・検査体制を抜本的に強化することがなにより急がれます。雇用や営業を守るための対策をさらに拡充させ、必要な人たちのもとへ一刻も早く届け切ることが重要です。菅義偉政権の追加経済対策は、医療・検査でも、くらし支援でも深刻な実態に見合っておらず、国民の願いとかけ離れています。デジタル化など政権の「目玉政策」へ重点化するのでなく、いま目の前でコロナに苦しめられている国民を支える対策にこそ予算を振り向けるべきです。

消費税5%減税の決断を

 安倍前政権下で8%、10%へと引き上げられてきた消費税の税率を元に戻すことが必要です。

 消費税率を緊急に5%に減税することは、いま一番困っている所得の少ない人にも、中小業者にとっても一番効果的な支援策です。海外では、コロナ禍の緊急対策として、消費税(付加価値税)の減税に踏み切る国が相次いでいます。消費税減税はコロナ危機で困難な状況にある国民への力強いメッセージにもなります。菅政権が消費税減税に背を向けていることは重大です。経済政策の根本的転換を迫る世論と運動を強めましょう。


pageup