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2020年12月28日(月)

トランプ大統領 元側近らの恩赦に批判

イラク人殺害の元傭兵まで

 【ワシントン=遠藤誠二】来年1月の退任を前にトランプ米大統領が発表した恩赦が波紋を呼んでいます。イラクで民間人を殺害した元傭兵(ようへい)や、数々の不正を重ねた自身の側近に恩赦を行い、「恥ずべきことだ」と批判が噴出。大統領による恩赦の権限を廃止する意見まで出ています。

 トランプ大統領は23日までに、60人以上を恩赦しました。2007年に、イラクの首都バグダッドで民間人17人(米国政府発表14人)を殺害した民間軍事会社「ブラックウォーター」の元傭兵4人(うち1人は終身刑)が含まれています。

 同社の創始者はトランプ政権の閣僚、デボス教育長官の実弟。ワシントン・ポスト紙は社説(24日付)で、「ブラックウォーターへの恩赦は国家の安全保障を脅かし評価をおとしめる」と見出しをたて「アメリカの名においてたたかっている者たちへ、子どもを含む逃げまどう民間人を撃っても罪から免れることができるとのメッセージだ」と指摘しました。

 この恩赦に対しては、国連人権高等弁務官事務所のフルタド報道官が23日、「ひどい人権侵害や深刻な国際人権法侵害に刑事免責を進める米国の姿勢は改めるべきだ」と主張。マーフィー上院議員(民主)は、「恥ずべきことだ。彼らは(降参して)手を挙げていた女性や子どもを銃撃したのだ」と批判しました。

 親しい「仲間」への恩赦も連発しました。ロシア疑惑に関連して有罪となったフリン元国家安全保障担当補佐官、16年大統領選のマナフォート選対本部長、長年の盟友であるストーン氏、元外交顧問のパパドプロス氏のほか、義理の息子であるクシュナー上級顧問の父で脱税で有罪となったチャールズ氏も。トランプ氏の大統領選出馬にあたり熱心な支持者だったコリンズ元下院議員、ハンター元下院議員などの「汚職議員」も含まれます。

 これには、共和党議員からも「芯まで腐っている」(サッセ上院議員)との批判が出ています。

 マーフィー上院議員は、「恩赦を犯罪活動の道具にすることは、民主主義への脅威だ」と指摘し、「憲法から(大統領の)恩赦の権力を取り除く時だ」と主張しています。


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