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2020年12月29日(火)

富裕層増税導入相次ぐ

南米各国 対コロナ、貧困層支援へ

 南米各国で、新型コロナウイルス対策や貧困層支援など社会開発予算を賄うため、富裕層増税導入の動きが相次いでいます。

 ボリビア国会の上下両院は23日、大規模資産を持つ富裕層を対象にした増税法案を賛成多数で可決しました。新型コロナの感染拡大による経済・財政困難の中、11月に就任したアルセ大統領が選挙中から公約していたものです。

 現地からの報道によると、課税対象となるのは3000万ボリビアノ(約4億5000万円)以上の資産を持つ人で、資産額の1・4~2・4%が課税されます。

 実際に課税される富裕層は150人余り。見込まれる税収増は1億1000万ボリビアノ(約16億5000万円)ですが、コロナ対策だけでなく、格差是正をめざす貧困層支援策などに振り向けるため、期限付きではなく恒久課税として承認されました。

 アルゼンチンでも今月初め、2億ペソ(約2億6千万円)を超える資産を持つ富裕層に2~3・5%の課税を実施する法案が国会で可決されました。1回限りの措置ですが、3000億ペソ(約3830億円)近い税収増が見込まれ、医療設備の購入、中小企業への補助金支給・融資などに使われる予定です。

 ボリビア紙ラソンによると、中南米ではコロンビアとウルグアイが、富裕層の大規模資産への課税制度をすでに導入。今回のアルゼンチン、ボリビアで計4カ国となりました。ブラジル、エクアドル、チリでも野党などが提案し、議論が進行中です。

 13カ国の研究所などが参加する研究機関「経済・社会的公正のための中南米ネットワーク」は15日、「今こそ中南米・カリブ海の大規模資産に課税を」と題する報告書を発表。この地域の20カ国で大規模資産課税が行われた場合、控えめな見積もりでも、約265億ドル(約2・7兆円)の税収増となるとの試算を明らかにしました。

 同報告書は、この財源があれば、新型コロナのワクチンを無償で提供し、250万人の命を救うことや、極貧状態にある人々に6カ月間食料手当を支給することも可能となると述べています。


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