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2020年12月31日(木)

主張

噴き出す疑惑

「桜」も「卵」も解明はこれから

 安倍晋三前首相の「桜を見る会」問題での居直り、吉川貴盛元農林水産相の収賄容疑などによる強制捜査―。「政治とカネ」をめぐる数々の疑惑が菅義偉政権を揺さぶっています。国民の政治不信は高まる一方なのに、菅首相は解明に背を向ける姿勢を改めようとしません。それどころか、年内で幕引きを図ることを狙っています。こんな企てを許すわけにはいきません。徹底追及はこれからです。

菅内閣の支持率は急落

 国民の批判は、28日付各紙の世論調査での内閣支持率の急落に、はっきり示されました。「読売」は前回12月上旬の61%から45%に大幅に下がりました。「日経」では支持率42%、不支持率48%と、支持・不支持が逆転しました。怒りを集めているのは、新型コロナ感染への無為無策とともに、「桜」前夜祭をめぐる安倍前首相の無反省な態度と、安倍氏をかばう菅首相の姿勢についてです。

 東京地検特捜部は先週、「桜」前夜祭で安倍後援会が会場となったホテルの費用を補填(ほてん)しながら、政治資金収支報告書に記載しなかった罪で安倍氏の政策秘書を略式起訴しました。これまで国会で費用の補填はしていないと繰り返してきた安倍氏のウソが認定されたのです。ところが安倍氏は秘書に責任を転嫁し、自らの関与は認めません。衆参の議院運営委員会での質疑でも補填の原資など、新たな疑惑が噴き出しています。

 世論調査でも、安倍氏の説明に「納得できない」は、「読売」で76%、「日経」で74%に上ります。今後も衆参の予算委員会で安倍氏の証人喚問を行うことは、絶対に必要です。官房長官として安倍氏を支え、虚偽答弁に歩調を合わせてきた菅首相の責任が問われるのは当然です。

 吉川元農水相が大手鶏卵生産会社の元代表から大臣室などで巨額の現金を受け取った疑惑では、東京地検が議員会館などを捜索しました。吉川氏は病気を理由に議員を辞職しましたが、疑惑に口を閉ざしており、国民は不信を募らせています。「日経」の世論調査では、吉川氏の説明に「納得できない」が82%を占めました。この疑惑では、菅政権の内閣参与だった西川公也元農水相(元衆院議員)も現金を受け取っていたことが発覚し参与を辞任しました。いずれも辞めて済む問題ではありません。

 吉川氏は自民党の二階俊博幹事長の派閥の事務総長で、先の自民党総裁選では菅陣営の選対事務局長でした。政権中枢に近い疑惑は曖昧にできません。菅首相は、吉川氏らの「卵」疑惑を解明する責任を免れません。

追及の手を緩めることなく

 吉川氏らの疑惑は、昨年の参院選広島選挙区での、河井克行元法相・案里議員夫妻の大規模買収事件の捜査中に明らかになったものです。この事件の焦点の一つは、買収資金の出どころが自民党本部から河井陣営に送金された1億5000万円もの巨額の選挙資金の可能性があることです。自民党総裁であり、河井夫妻と親しく、案里氏を選挙に担ぎ出したといわれる菅首相の責任はここでも免れません。秋元司元内閣府副大臣のカジノ汚職も決着していません。

 一連の「政治とカネ」疑惑は安倍前政権の「負の遺産」です。疑惑隠しを狙う菅政権への追及の手を緩めることはできません。


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