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2021年1月24日(日)

きょうの潮流

 東京五輪が延期された昨年、マラソンメダリストの有森裕子さんがこんなことを語っていました。「私たちのスポーツというのは、ちゃんとした社会のもとで成り立っている」▼社会が落ち着かないのに、スポーツのことだけを考えて五輪開催には価値があると言い続けるのは、ちょっと違う主張ではないか。開くからには何か明るく栄え、育まれるものが生まれなければ、やる意味はないと思うと▼東京五輪の開幕が半年後に迫りました。ウイルスの感染拡大で緊急事態のさなかにある日本社会。医療や仕事をはじめ、命とくらしを守る懸命な日々が続きます。国民の多くが今夏の開催に反対するなか、選手たちは戸惑いや不安を抱えています▼「五輪を嫌われ者にしないでほしい」。日本オリンピック委員会の山口香理事は、開催の判断が長引くほど国民の気持ちが五輪から離れていくと新聞に語っています。中ぶらりんの状態や選手の準備不足を心配し、「国の説明が足りない」とも訴えています▼複雑な思いは現役からも。カヌー五輪代表の羽根田卓也選手は、まずは自分自身がコロナの収束に最大限尽くすことだと。パラリンピックの土田和歌子選手は「いまは命を優先するべき。命が約束された世の中であってこそスポーツが成り立つ」▼望まれない五輪ならば開く意味がないと、はっきり口にする選手も。みずからの失政で感染を広げた菅首相は根拠も示さず、開催にしがみつくばかりです。このままでは選手や五輪も浮かばれません。


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