2021年1月24日(日)
主張
禁止条約の発効
核廃絶へ新しい時代の始まり
核兵器禁止条約が発効し、人類史上初めて核兵器を違法とする国際法が生まれました。歴史的な条約を力に、「核兵器のない世界」への道を切り開く、新しい時代が始まります。
被爆者の活動への賛辞
「歴史の中に銘記される日になる」「希望の朝です」―禁止条約が発効した22日、被爆者から喜びの声が次々と上がりました。被爆者の長年の訴えが、世界の国々を突き動かし、禁止条約を実現したのです。アントニオ・グテレス国連事務総長は「発効はこれらの人々の長きにわたる活動への賛辞です」と述べました。
発効は、核兵器廃絶をめざす諸国政府と市民社会の共同した取り組みの画期的成果でもあります。一部の大国が支配する世界に代わり、全ての国が主人公となる新たな世界が到来しつつあります。
核保有国はいずれも、禁止条約への参加を拒んでいます。しかし、核兵器に固執する国々は今後、国際社会からさらに大きな圧力を受けていくことは明らかです。
世界と各国社会に「核兵器は違法なもの」との共通認識が広がっていくなら、核保有や「核抑止力」を正当化する論拠の土台は掘り崩されていきます。
核兵器の使用や開発の動きが、これまで以上に厳しく非難されるのは必至です。広島と長崎の原爆投下以来、世界の反核世論は、核兵器の使用を許しませんでした。禁止条約という法規範が、核使用の手を一層強く縛ることになります。米ロなどが核使用の「敷居」を低める言動を繰り返しているだけに、重要な意義があります。
核保有国の軍事行動自体も制約されます。核兵器を搭載した艦船、航空機の領域内の航行の権利を米国に認めてきたパラオや核弾頭ミサイル実験場をロシアに提供してきたカザフスタンも禁止条約を批准しました。条約への参加国が増えるにつれて、核保有国の戦略はさまざまな障害に直面することは間違いありません。
米国の核兵器を配備するヨーロッパの国々でも世論調査では6~7割が禁止条約の署名に賛成しています。米国でも若い世代の7割が「核兵器は不要」と回答しています。バイデン政権の「核抑止」政策が厳しく問われます。
核兵器廃絶の実現には、さらなる努力が必要です。禁止条約の規定に基づき、年内にも条約の締約国会議が開催される予定です。市民社会も参加した条約推進のための新しいプロセスが開始されます。条約発効を実現した多数の国々と市民社会の共同をさらに力強く発展させ、「核兵器のない世界」への道を前進させていく時です。
参加する政権をつくろう
唯一の戦争被爆国である日本の菅義偉政権が、世界の流れに背を向け続け、米国の「核の傘」を理由に条約参加を拒んでいることは、許し難い姿勢です。
世論調査では、国民の圧倒的多数が禁止条約への参加を求めています。被爆国の国民の悲願に逆らう政権を続けさせるわけにはいきません。日本が条約に参加すれば、世界とアジアの情勢を前に進める大きな変化を生み出すことになるでしょう。
日本共産党は、被爆者、反核平和運動と連帯し、核兵器禁止条約に署名・批准する新しい政権をつくるために全力を尽くします。