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2021年2月1日(月)

NHK日曜討論 田村政策委員長の発言

 日本共産党の田村智子政策委員長は31日のNHK「日曜討論」で、審議入りした新型コロナウイルス感染症に対応する特別措置法・感染症法等改定案への対応や医療・事業者支援、ワクチン接種の体制整備などについて各党政策責任者と議論しました。


感染の現状、宣言の延長

 感染拡大の現状を問われた自民党の下村博文政調会長は、緊急事態宣言で感染者数は減少傾向にあるとの認識を示しました。

 田村氏は、自宅療養中の感染者が27日時点で全国3万5000人を超え、療養中の死亡も相次いでいると指摘。医療支援予算3・3兆円のうち現場には約1兆円しか届いていないと述べ、「医療への手だてが切迫して求められている」「シンプルに経営と人件費にあてられるのは減収補填(ほてん)だと昨年から言われてきた。地域医療全体を支えていくために、ここに踏み出すべきだ」と強く求めました。

 緊急事態宣言解除の判断について、田村氏は、医療の逼迫(ひっぱく)の解決がみられなければ困難だと発言。宣言下で日中の行動制限も呼びかけながら、事業者への協力金は午後8時までの時短要請を理由に限定的でよいとしていると指摘し、「事業や雇用をどう支えるか、真剣に現場の声を聞きながら進めることが求められる」と訴えました。

 自民・下村氏は宣言の解除・延長について、専門家の会議の判断を受けて政府が対応するが、最悪を想定して今から準備すると述べました。立憲民主党の泉健太政調会長は、宣言を延長するなら、支援措置延長や税金や社会保険料の猶予が必要だと主張。患者を限りなくゼロに近づけたうえで経済を再生する「ゼロ・コロナ戦略」をとるべきだと訴えました。国民民主党の舟山康江政調会長は、宣言が発令されていない地域も人の動きが止まっており、支援が必要だと訴えました。

特措法等への罰則導入

 特措法・感染症法等改定案で入院拒否などをした感染者への刑事罰が与野党の修正協議で削除され行政罰となったことについて、田村氏は「患者に対する刑事罰はとんでもないことで取り下げは当然だ」と指摘。一方で、「行政罰であっても感染症の対策に逆行するものであり反対だ」と強調しました。

 立民・泉氏は、刑事罰の削除は前進だが、行政罰が残ったことは力不足でおわびしたいと発言。国民・舟山氏は、緊急事態宣言の前段階に創設する「まん延防止等重点措置」について適用の要件などが不明確だとして国会関与のあり方などを明確にするよう求めました。

 自民・下村氏は、罰則導入は知事会からの要請だと述べ、いきなり罰則ではなく要請・命令・立ち入りなどの最後に行政罰があるなどと弁明しました。

 これに対し、田村氏は、厚生科学審議会感染症部会では保健所の現場から「知事とコミュニケーションをとって、そのような要望をあげてくれといったことはない」との発言があったことを紹介。全国保健所長会も懸念を示す意見書を提出していると述べ、「現場の声に応えるものではない」と批判しました。

 また、感染経路などを調べる疫学調査の協力拒否への罰則導入で、拒否に正当な理由があるかの判断などが保健所に任されれば、「患者との信頼関係にヒビが入り、むしろ聞き取りを困難にしてしまう」と指摘。「入院ができない場合も事情を聞き取りながら解決してきたものを罰則で脅すやり方はいかがなものかというのが現場の声だ」と主張しました。

 田村氏は、飲食店が時短に応じられないのは、店がつぶれてしまう、従業員の生活が成り立たなくなるという苦悩の上のことだと指摘。濃厚接触者になり2週間自宅待機となれば、傷病手当もなく、非正規雇用の人はどう生活したらいいのかと述べ、「安心して休める補償、感染した場合に療養に専念できる生活保障こそが実効性だ」と強く訴えました。

雇用・暮らしへの支援

 雇用や経済への支援も議論になりました。自民・下村氏は、時短要請に応じた飲食店への協力金1日6万円は月単位でみれば180万円になり、固定費は「ほとんどカバーできる」などと発言しました。

 田村氏は「180万円だから大丈夫というが事業規模や家賃でまったく違う」と批判。「しかも約1年にわたって疲弊し続けているもとでの緊急事態宣言であり、そのさなかに持続化給付金も家賃支援給付金も制度終了はありえない。頑張ってやってきた老舗のお店も次々と閉店している。今の制度で足りるという認識をまず改めていただきたい」と迫りました。

 市民団体などによる生活相談で、寒い中1時間並んで若者が食料を受け取るなど雇用が失われ生活困窮に陥っている実態を指摘し、「生活困窮に対する新たな給付金を私たちも提案している。ぜひ新しい施策の検討を」と求めました。

ワクチン接種の課題

 ワクチン接種の体制整備について田村氏は「安全性と有効性の十分な確認と、国民に対して情報公開し不安に応えることが大前提だ」としたうえで、実際に接種を進める際には医師・看護師の体制の確保が一番の課題だと指摘しました。

 治療やPCR検査など新型コロナ感染症そのものへの対応が続くなかでワクチン接種も進めていくことになると述べ、「ワクチン接種ができる地域の医療体制を、新型コロナ対策を進めるなかでどうしていくのか。改めて医療機関全体の減収補填を、ワクチン接種の問題としても深く捉えて考えていただきたい」と提起しました。

 自民・下村氏は「今のご指摘はもっともだと思う。安心してワクチン接種に取り組める状況をつくるよう党としても対応する」と応じました。


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