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2021年2月11日(木)

森氏暴言に抗議拡大

署名14万 ボランティア辞退500人 スポンサー「遺憾」

 東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長の女性蔑視発言をめぐり、辞任を求める世論のうねりが止まりません。ボランティアの辞退が続き、選手のほかにも大会スポンサーが「大変遺憾」といった声を上げ始めました。各地で女性団体の抗議宣伝が行われ、海外の批判も依然強く、内外から抗議の大波が起きています。


 森暴言にたいし、市民やスポンサーからの抗議が勢いを増しています。

 組織委員会にはすでに4500件、東京都にも9日まで約1400件のメール、電話が寄せられています。ネット署名も10日昼まで14万人以上を集めています。加えてボランティアの辞退者が500人に迫るなど事態は深刻です。

 大会スポンサーからも批判が強まり、10日にはトヨタ自動車が「誠に遺憾」との見解を表明。他のスポンサー企業も「多様性に反する」などの声が相次いでいます。

 こうした状況にたいし、国際オリンピック委員会(IOC)は9日、森会長の女性蔑視発言を受け、「完全に不適切。(男女平等を目指す)IOCの決意にも反している」との声明をだし、不快感を示しました。

 IOCは4日、森会長が自身の発言を撤回して謝罪した直後、「これをもって、問題が終わったと考えている」と火消しに奔走していました。しかし、森会長に向けられた世界の非難の高まりに抗しきれず、態度を一変させた形です。

 組織委員会は10日、理事や評議員を集めた臨時会合「合同懇談会」を12日に開くと発表しました。森会長も出席して謝罪し、男女共同参画に関する取り組みについても意見を聞くとしています。理事、評議員からどんな意見が出るのか注目されます。

海外メディア “怒りに鈍感 政府も問題”

 東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長による女性蔑視発言で批判が高まるなか、海外メディアや国際人権団体は、同氏を擁護する政府や与党の姿勢に厳しい目を向けています。米外交誌『ディプロマット』は「日本の根深いジェンダー問題を浮き彫りにした」と批判の声を上げています。

 米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版、9日付)は、「女性蔑視に謝罪を表明。日本では、往々にしてそれで十分」と題し、森氏は国民の怒りに対し「鈍感」だと指摘。その背景には「説明責任を果たさず古い考えを守る一方で、若者の批判の声を抑え込む権力構造の土台がある」と述べました。自民党幹部の多くが森氏を擁護していることにも触れ、「長年の与党は、女性の権利のために立ち上がる意欲がほとんどない」と批判しました。

 ロイター通信は、菅義偉首相が、森氏の発言を「あってはならない」と述べながらも、同氏を辞任させる権限はないと繰り返すにとどまっていると紹介。与党幹部が森氏を擁護している一方で、世論調査では約6割が森氏は「適任でない」としたことを強調しました。

 国際人権団体「ヒューマン・ライツ・ウオッチ」は、「金メダル級の女性蔑視」と指摘しています。性暴力を訴えた女性が汚名を着せられるなど日本社会に根差す数々の性差別に言及。「森氏の発言は、日本政府がこうした女性差別・蔑視問題について早急に改革に乗り出すべきことを示している」と述べました。


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