しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2021年2月23日(火)

生活保護減額は違法

大阪地裁 歴史的な原告勝訴判決

写真

(写真)「勝訴」の報告に抱き合って喜ぶ原告ら=22日、大阪地裁前

 国が2013年8月から開始した生活保護費引き下げは生存権を保障した憲法25条に違反するとして、その取り消しなどを求めて、大阪府内の生活保護利用者42人が国と府内12市を相手取った「生活保護基準引き下げ違憲訴訟」(いのちのとりで裁判)の判決が22日、大阪地裁でありました。森鍵一(もりかぎ・はじめ)裁判長は、生活保護費の減額処分は違法であるとして、処分を取り消す判決を出しました。

 「やった」「勝った」「万歳」。「勝訴」の旗が掲げられた瞬間、地裁前は歓声と涙に包まれました。原告の女性は「(裁判開始から)6年間ずっと苦しかった。本当にうれしい。社会を変えるたたかいはこれからも続く」と語りました。

 判決は、引き下げの名目とされた「デフレ調整」について、特異な物価上昇が起こった2008年を起点にして物価の下落を考慮した点、独自の指数に着目し、消費者物価指数の下落率よりも著しく大きい下落率を基に改定率を設定した点において、客観的な数値等との合理的関連性や専門的知見との整合性を欠き、生活保護法3条、8条2項の規定に違反し、違法であるとしました。

 弁護団は「国が行った生活保護基準引き下げを問題とし、裁量逸脱を認めた。健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を保障する歴史的な勝訴判決」と述べました。

 国が2013年から3回にわたり、平均6・5%、最大10%もの引き下げを強行したことから全国29都道府県で1000人近くの原告が訴えている集団訴訟です。大阪は14年に51人が提訴(後に2人が追加提訴、原告の死亡等で現在42人)。国に慰謝料を求めた訴えについては退けましたが、原告の請求がすべて棄却された昨年6月の名古屋地裁での不当判決を克服した、初の勝利判決です。

 日本共産党は、2013年8月からの生活扶助基準引き下げに反対したのをはじめ、18年10月から実施した引き下げをめぐっては、志位和夫委員長が同年2月の衆院予算委員会で取り上げるなど基準引き下げに一貫して反対してきました。


pageup