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2021年3月2日(火)

中間地方選挙の教訓――後退傾向を前進へと転ずるために

3月1日 選対局長 中井作太郎

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2中総後の地方議員選挙――政権与党批判が党支持に結びついていない

 この1、2月、わが党は37選挙区に65人の候補をたててたたかい、議席は前回比13減、改選比6減となりました。得票は前回比84・9%、参院比例比94・8%と後退しました。この結果は、「中間選挙で議席と得票の前進の流れをつくることは、総選挙勝利にとって不可欠である」と位置付けた第2回中央委員会総会決定にてらして、「やれるだけやった、やむをえない結果だ」とすることは決してできません。私自身、担当部門の責任者として責任を痛感しています。現状を厳しく直視し、後退傾向を前進へと転ずるために全力をあげなければなりません。

自公に厳しい審判 半数以上で投票率アップ

 選挙結果の全体の大きな特徴は、地方選挙ではあるが政権与党に厳しい審判が下されていることです。自民党は、福岡・北九州市議選で6人落選させ、各紙が「自民大敗」と報じました。その後も愛媛・今治市で2人、大分市議選でも3人落選です。公明党は北九州市議選で全選挙区で得票を減らし、埼玉・戸田市議選では公認候補が落選しました。逆風をかわすために、自民・公明の党名を隠す候補者も各地に生まれています。

 党が立候補した選挙区で、選挙の投票率が、コロナ危機にもかかわらず、ほぼ半数近い選挙区で上昇しています。昨年1年で8割の選挙で前回を下回っていたことと比べ明確な変化です。菅政権への怒りが、自・公の支持離れと無党派層の投票行動となって表れているのです。どこでも党の訴えに共感が広がり、自・公をおいつめる力を発揮しましたが、わが党の得票に結実させることに成功していません。有権者の前向きの変化を、党支持に実らせる知恵と執念、努力が必要です。

 同じ条件のもとで勝利した選挙区の教訓もふまえて、選挙の明暗を分けたもの、今後の地方選挙に勝利するうえでどうたたかうか、その中心点を述べます。

最大の教訓と課題――積極的支持者を増やし、自力の後退を克服する活動

 最大の教訓と課題は、積極的支持者を増やし、自力をつけるための活動を選挙が迫ってからでなく、早い段階から行うことにあります。

 北九州市議選で10議席めざし8議席にとどまった最大の要因について、内田裕福岡県委員長は、選挙に間に合うように「積極的支持者を日常的でねばり強く増やす」活動と「自力づくりで後退」したまま選挙に入ったという二つの問題を明らかにしました(本紙2月4日付掲載)。これはこの間、地方選挙をたたかった党組織から「われわれの実感ともピッタリ」との感想が寄せられています。

 いま全党は、2中総が提起した、「総選挙躍進特別期間」で「1千万対話」「500万後援会」「党員拡大の現勢での毎月前進」「『赤旗』読者の前回時回復」の課題を掲げ、その達成のために力を尽くしています。コロナ危機のもとで「対話アンケート&リーフ」なども使い、対話に踏み出すことが苦難軽減そのものの活動であり、党への信頼を広げ「日本共産党だから支持する」流れをつくり出しています。4月末までに「特別期間」の諸課題をやり抜くことが、中間地方選挙の勝利でも決定的に重要であることを、まず強調したいと思います。

 とくに自力の弱まりは、選挙の勝敗に直結しています。選挙をたたかった31自治体の前回時比は党員96%、「赤旗」読者では日刊紙90%、日曜版85%であり、議席減の11選挙区の大半が党員、読者で前回時を回復できないまま選挙を迎えました。一方、岐阜・揖斐川町、石川・白山市、北九州市・小倉北区は党員・読者のいずれかの指標で前回を上回り、得票を増やし勝利を手にしました。自力の問題は、党勢の後退だけでなく、候補者擁立の遅れ、選挙体制確立の困難など、選挙戦そのものの遅れの原因ともなっています。

 地方選挙をたたかっているところこそ読者、後援会員に総当たりし「1千万対話と党勢拡大」の課題を「今が選挙」と、逆算必勝の構えでとりくむことが必要です。3月、4月に選挙が行われるところでは、「特別期間」の諸目標をやり遂げる時期を、前倒しにして、死活的課題としてとりくむことを強く訴えます。

大量政治宣伝と一体に担い手をひろげ、対話・支持拡大の総量を引き上げる

正確な論戦を定め、全有権者にとどける大量政治宣伝をやり抜き局面を変える

 同時に、この二つの課題――積極的支持者の獲得、党の自力をつける――が、やりきれなかったもとで、選挙戦に入った場合に、どう勝ち抜くかも重要な課題です。

 この点で、強調したいのは、全有権者にとどける大量政治宣伝をやり抜き、元気いっぱいの党の姿を有権者に示していくことです。

 北九州市議選では、昨年の10月、12月、今年の1月の3回、全県からの力の集中で「浮上作戦」にとりくみ街頭演説4万回(10世帯に1回)を超えました。群馬・前橋市議選挙でも前回の1・4倍となる15世帯に1回の街宣をやり抜いたことが勝利の教訓となりました。

 一方、3議席に挑戦し現職・新人が共倒れした奈良・橿原市では、当初、宣伝が候補者の街宣にとどまり、最後に力を集中したものの間に合いませんでした。3議席をめざし1人落選し下位2議席の当選にとどまった神奈川・寒川町では、総選挙を前に、他党は国会議員をはじめ大量の地方議員が、組織的しめつけと合わせ、宣伝でも勢いをしめしましたが、党の陣営はそれらを上回って攻勢をかけられませんでした。

 街頭宣伝は選挙勝利の活動を飛躍させる共通の土台です。街頭で、つじつじで、党の風を起こす活動は、コロナ禍のもとで不安と孤独を余儀なくされている多くの人たちを励まします。感染対策をしっかり取ればどこでも可能です。党勢が後退していても、さまざまな基礎的な力が落ちていても、力を集中してやり抜くことができます。

 各地で日本共産党の訴えに耳をかたむけてくれる人が増えており、菅政権と自・公与党への怒り、党への共感を支持につなげるには、党の存在意義を強く押し出していくことです。党が躍進すればどんな政治が実現できるのか、希望と展望を語ることが大切です。また地方選挙にふさわしく政党選択とともに、候補者の魅力押しだしに磨きをかける宣伝が求められます。

対話の総量を思い切ってひきあげる、打開のカギは担い手ひろげ

 もう一つは担い手を広げることです。多くのところが前回に比べて、対話と支持拡大で後退し、得票の後退となっています。事態を打開するには、大量宣伝とともに最後まで、すべての党員に働きかけ、対話・支持拡大を広げる担い手を増やすことが決定的に重要です。単位後援会をつくり、後援会ニュースを系統的に発行し、選挙資材を届け、読者、後援会員、支持者に総当たりし、選挙情勢を訴え協力をお願いする。候補者が、生活相談などの結びつき、親せきや同窓生など、あらゆる可能性を生かして奮闘することです。3議席から2議席へと後退した大分市議選では、担い手の方との結びつきの差が明暗を分けました。

 また、得票目標・支持拡大目標をやり抜く「当たる名簿がない」ために、苦戦を強いられているところも少なくありません。「あらゆる種類の名簿を、知恵を出しあって」(2中総)そろえることが勝敗に直結します。

 北九州市議選では市全体の18歳から29歳の若者名簿(選挙人名簿を2・7万人書き写し)を作成しました。その中から八幡西区の新人候補は約6千人の若者名簿をつくり、「選挙グッズ袋」を届け、若者事務所も設置して、市議団長からのバトンタッチを成功させています。

SNSの活用を選挙作戦の柱にすえる

 落選した半数のところでSNSを活用していませんでした。候補者のネット、SNSは宣伝の面だけでなく組織活動でも重要な役割を果たします。いま各地でとりくまれている「オンライン演説会」「Zoom(ズーム)集い」は、コロナ禍の受動的対応にとどまらず、選挙戦を発展させる新たな可能性をひらく活動です。

情勢判断と対策をやり抜く

 複数立候補区16のうち全員当選できなかった選挙区が7選挙区あります。次点が5人、数票の僅差(きんさ)や最下位同数(くじ引き)の落選、「大丈夫」論でのゆるみもありました。情勢判断と対策では、良い反応だけでなくまずいこともリアルにつかみ、最後の最後までやるべきことをやりつくすことです。大幅な得票増なしには勝利できない選挙区もあります。4年前の得票を既得の陣地とせず、勝ち抜く陣営全体の気迫のこもった活動こそ、勝利への道です。

 一つひとつの中間選挙で勝ち抜くことは、それぞれの党組織の住民に対する党の責任です。その流れが都議選挙、総選挙にむけた党躍進への勢いをつくりだします。私も全力をつくす決意です。


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