2021年3月3日(水)
主張
予算案の衆院通過
国民の苦難打開へ姿勢改めよ
2021年度政府予算案が、自民・公明などの賛成多数で衆院本会議で可決され、参院へ送られました。感染が収束しないコロナへの対策は全く不十分で、国民の命と健康、暮らしを守るには程遠い冷たい予算です。衆院採決の際、日本共産党と立憲民主党は組み替え案を共同で提出しました。参院での徹底審議を通じ、抜本的な組み替え実現が不可欠です。
コロナ対策は無為無策
21年度予算案は、一般会計総額が106兆6097億円と過去最大規模です。菅義偉政権は1月末に成立した20年度第3次補正予算と合わせて、「15カ月予算」と位置付けています。
重大なのは、最大の緊急の課題であるコロナ対策で、21年度予算案は5兆円の予備費以外にすぐに対応できる予算がほとんどないことです。必要な対策は補正予算に計上したという政府の言い分は通用しません。補正予算は基本的に3月末までです。それまでにコロナが収束することはありえず、21年度予算案に、十分な対策費を具体的に盛り込むべきです。
巨額の予備費で対処するのは、国の歳出は国会で議決するという財政民主主義からも問題です。野党共同の組み替え案は、予備費の積み上げをやめ、医療機関の減収補填(ほてん)などの経済支援、感染再燃防止のための検査拡充、生活困窮者への1人10万円の給付金、持続化給付金の再給付など切実な要求を提起しました。真剣に検討し、実施すべきです。
21年度予算案に計上されたマイナンバーカードの普及促進などのコロナ対策に便乗した項目や、成長戦略に基づく大型開発事業推進など不要不急の予算は、根本から見直す必要があります。3次補正予算で費用が追加された「Go To トラベル」事業は、感染抑止に逆行するもので、きっぱり断念すべきです。
国民に「自助努力」を迫る菅首相の冷たい姿勢を反映し、社会保障費は高齢化に伴う自然増さえ1300億円も削減しました。年金も0・1%のマイナス改定です。軍事費は9年連続の増額で、過去最大の5兆3422億円にのぼります。新型イージス艦取得や長距離巡航ミサイル、戦闘機の開発などに拍車をかける姿勢はあまりに異常です。
国民の税金で賄われる予算は、もともと所得の再配分や景気の調整など、国民の暮らし向上に使われるべきものです。コロナ対策には無為無策で、国民の苦しみをよそに、大企業のための事業や軍事費に巨額の税金を使うのは、本末転倒です。
世界的なコロナ感染拡大の中で、日本の消費税にあたる間接税を減税する動きが50カ国余りに広がっています。予算案が消費税5%への引き下げにも背を向けているのは大問題です。消費税のこれまでの税収は、大企業や大資産家向けの減税で消えています。消費税を減税するとともに、大企業や富裕層への応分の負担が求められます。
菅政権への追及さらに
総務省や農林水産省で相次いだ接待疑惑はあいまいにできません。公務員の倫理規程に違反するだけでなく、行政をゆがめた贈収賄としても徹底追及が必要です。参院段階での予算審議に合わせ、国民の声に逆らう菅政権を追い詰めることがますます重要です。