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2021年3月9日(火)

主張

NTT総務省接待

底なしの癒着を徹底解明せよ

 総務省は、NTTによる同省幹部への接待に関する調査の中間報告を発表し、高額接待を受けていた同省事務方ナンバー2の谷脇康彦総務審議官を事実上更迭しました。谷脇氏は放送関連会社「東北新社」から接待されていたことも発覚しています。業者からの接待は、農林水産省でも明らかになり、事務次官らが処分されています。癒着はいよいよ深刻な様相です。幹部職員に対する異常な接待が相次いでいる問題は、公務員倫理規程に違反するだけでなく、行政をゆがめた贈収賄疑惑としても徹底究明が不可欠です。

行政ゆがめた疑いさらに

 NTTによる総務省幹部接待問題は、4日発売の『週刊文春』がスクープしました。谷脇総務審議官が2018年~20年に3回、NTT関連の会員制高級レストランで、高額の接待を受けていたなどと報じました。総務審議官だった山田真貴子前内閣広報官と巻口英司国際戦略室長も20年6月に1回接待を受けたとされます。谷脇氏の接待には、金杉憲治外務審議官も同席していました。

 総務省の8日の中間報告では、谷脇氏の接待総額は約10万7000円で、山田氏と巻口氏の接待金額は約5万1000円だったと記載しました。谷脇氏と巻口氏はそれぞれ5000円から1万円を支払ったといいますが、接待での飲食単価はその額を大きく上回っています。

 NTTは取締役の選定などで総務相の認可を受ける総務省の利害関係者です。国家公務員倫理規程に反していたことは明白です。

 谷脇氏は先月の国会で、東北新社のほかには規程違反の接待はないと述べ、総務省も同様の説明をしていました。総務省の調査がおざなりだったことは重大です。監督する立場の、武田良太総務相の責任は免れません。

 谷脇氏らがNTTから接待を受けたのは、総務省に強い影響がある菅義偉現首相が熱心に推進する携帯電話料金の値下げとの関連が疑われます。谷脇氏は総務審議官に就任する前はNTTを所管する総合通信基盤局長などを歴任しており、さらなる調査が必要です。

 菅首相の長男・正剛氏が勤める東北新社による接待も、全体像は不明のままです。衛星放送の周波数割り当てや認定更新などをめぐる疑惑が強まっています。

 収賄罪で在宅起訴された菅首相側近の吉川貴盛元農水相とともに鶏卵生産会社「アキタフーズ」に接待され、処分された農水省事務次官らの問題もあいまいにできません。贈収賄に直結します。

 各省庁の幹部職員らの企業との癒着が横行しているのは、行政の私物化を常態化させてきた、安倍晋三前首相と菅首相の2代の政権にわたる官邸主導の強権的な“霞が関支配”と無関係ではありません。政権自体の責任が厳しく問われます。

関係者の国会招致不可欠

 世論調査で東北新社から総務省幹部職員が接待を受けていたことについて「問題がある」という回答は8割を超します。(「読売」8日付)。

 菅首相は武田総務相任せではなく、相次ぐ接待問題の全容を自ら調査し、国民に明らかにすべきです。NTTや東北新社関係者の国会招致を実現し、真相を解明することが求められます。


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