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2021年3月9日(火)

中小企業淘汰を批判

大門氏 消費税減税・富裕税求める

参院予算委

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(写真)質問する大門実紀史議員=8日、参院予算委

 日本共産党の大門実紀史議員は8日の参院予算委員会で、中小企業の淘汰(とうた)を狙う菅義偉政権の路線を批判し、消費税減税による中小企業支援や富裕層への課税強化を提案しました。

 大門氏は、コロナ禍で苦しむ中小企業を支援する持続化給付金を打ち切るなど中小企業への冷淡な姿勢の背景には、首相ブレーンらが主張する中小企業「淘汰・新陳代謝論」があると強調しました。

 大門氏は、持続化給付金などによる支援長期化は「新陳代謝を阻害する」として終了を求めた昨年の財政制度等審議会の建議について、“生産性が低い中小企業の半減”を持論とする実業家デービッド・アトキンソン氏の主張が背景にあると指摘。成長戦略会議の「実行計画」も同氏の主張に沿って、中小企業の生産性が低いのは規模が小さいからだとして規模拡大を前面に打ち出したと述べました。その上で、昨年9月に「中小企業の生産性を高めるには規模拡大が必要だ」と述べた菅首相に「成長戦略会議と同じ考えか」と質問。菅首相は「変わらない」と述べました。

 大門氏は、大企業と中小企業は労働生産性の伸びに大差なく、大企業による下請け単価の切り下げなどが中小企業の生産性向上を妨げているとの『中小企業白書』の分析を示し、「軽々しく『生産性が低い』と言うべきでない」と批判。菅首相は「中小企業は価格転嫁できないために労働生産性の伸びが低い面があることは認識している」と述べつつ、「小規模事業者の淘汰が目的ではない」と強弁しました。

 大門氏は、トヨタ1社だけで854億円(19年度)も減税する「研究開発減税」の見直しなど「大企業に軽く、中小企業に重い税負担構造を是正すべきだ」と強調しました。

 さらに、「消費税減税も有力な中小企業支援だ」と指摘。コロナ危機の下、何らかの形で付加価値税や消費税を減税した国・地域が56に上っているとして、「日本も消費税減税に踏み出すべきだ」と訴えました。

 麻生太郎財務相は「消費税を引き下げる状況にない」と拒否しました。

 大門氏は、コロナ禍で国民生活が苦しくなる一方、資産1000億円超の大資産家が直近11カ月で資産を12兆円も増やすなど「一握りの富裕層が大もうけしている」と強調。各国政府のコロナ対策で有り余ったお金が株式市場に流れ込み、バブルのような株高がつくり出されていると批判しました。

 その上で、富裕層への課税が世界で議論になっていると指摘。ウォルト・ディズニーの孫アビゲイル氏ら世界の富豪が各国首脳に向け課税強化を訴える書簡を公表したことについて認識を問いました。

 菅首相は「富裕層に応分の負担をいただくことは重要だ」と答えました。

 大門氏は「格差の是正にむけて、大企業や富裕層の富を社会に還元することは、経済回復にとってもコロナ後の経済社会を構築するうえでも重要だ」と述べ、富裕層への課税強化を求めました。


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