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2021年4月2日(金)

消費税減税 今こそ

導入32年 中小業者悲鳴

コロナ下2年分納付「店つぶされる」

 コロナ禍で存亡の危機にある中小業者に、消費税が追い打ちをかけています。聞こえてくるのは「消費税を払うために借金せざるをえない」「店をつぶされる」といった声。導入から32年のいま、「消費税を減税してほしい」という声が噴き出しています。(青柳克郎)


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(写真)人気のない、ビジネスホテルのフロント=東京都豊島区(事業主提供)

 「昨年の売り上げは7割減。大赤字で所得税はゼロだが、消費税は昨年分と合わせて130万円を請求されている。手元資金は乏しく、消費税のために銀行融資を申し込むことを考えているが、返済できるかも分からない。廃業まで考えざるをえない状況だ」

 東京都豊島区でビジネスホテルを営む男性(57)が話します。

 緊急事態宣言の影響で、3月の売り上げはわずか2万円。春は卒業旅行などで上京する人が多い時期ですが、宣言解除後も客は戻らず、予約は例年の20分の1しかありません。五輪需要を見込んで3年前、2000万円を投じて改装しましたが、コロナで返済計画が狂い、負担だけが重くのしかかります。

 個人事業主の消費税の納期は4月15日。昨年コロナ特例でつくられた、国税の納付を1年猶予する制度では、猶予された税額の6割が消費税です。にもかかわらず菅政権は同制度を延長せず打ち切ったため、多くの事業主が今年、2年分の納付を迫られます。

 政府は「消費税は価格に転嫁された『預かり金』のようなものだから納められるはず」といいます。しかし多くの事業主は完全には転嫁できず、自腹を切って負担しているのが実態です。

 前出の男性は、納付の苦しさを税務署に訴えています。しかし返事は「これ以上の猶予はしない。分割してでも払ってもらう。完納するまでは延滞税がかかる」と、苦境を一顧だにしないものです。

 男性がいいます。

 「コロナ禍がここまで長引いているのは、国が十分なPCR検査などの対策をとってこなかったからだ。それなのに国は事業者への給付金を打ち切り、まともな補償もしない。直ちに消費税の免除・減税をしてほしい。再度の持続化給付金なども考えてほしい」

売上半減 客足戻らず 生活費もまかなえない

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(写真)消費税の5%への引き下げを訴える直鞍民商の宣伝参加者=1月5日、福岡県直方市

 すし店を営んで40年近い男性(57)=豊島区=も今年、2年分の消費税およそ60万円を請求されています。昨年の売り上げは半減で大赤字。緊急事態宣言の影響もあり、いまも客足は回復していません。

 家賃や3人の従業員の賃金など、固定費は月100万円ほどかかります。東京都の時短営業協力金(3月8~31日で124万円)では減収分を補えきれず、資金繰りのために借りた公的融資を取り崩して日々をしのいでいます。

 男性が話します。「生活費すら賄えない状況が続くなか、経営状態にかかわらず取られる消費税の負担は痛い。国は中小業者がこれ以上つぶれることのないよう、消費税の免除や減税を早急に考えてほしい」

 消費税に苦しむ中小業者の声を受け、各地で減税を求める取り組みが進んでいます。

 福岡県筑豊地方の直鞍(ちょくあん)地区は、自動車や機械部品の町工場が多く、コロナで大きな打撃を受けています。

 直鞍民主商工会は昨年12月、地区内の2市2町の議会に「コロナ危機打開のため、消費税率5%以下への引き下げを求める意見書案」を請願・陳情。日本共産党議員の尽力もあり、直方(のおがた)市と鞍手、小竹両町で可決されました。

 同民商は、事前に消費税の問題点や代替財源を明らかにした資料を全議員に送りました。自民系の直方市議が「コロナで景気が落ち込むなか、消費税減税は必要だ」と話して賛成するなど、保守層にも賛同が広がりました。

 岐部博之事務局長が力を込めます。「消費税減税を求める声は自民党の国会議員からもあがっており、地方議会に波及しています。いまこそ減税を実現するときです。5%への減税を求める署名を進め、大きく世論を広げたい」

 コロナ禍のなか、いま世界で56の国・地域が消費税(付加価値税)減税に踏み切っています。消費税廃止各界連絡会の中山眞事務局長は「すべての人に恩恵が行き届く消費税減税こそが一番の経済対策であり、コロナ対策としても有効です。減税を実現する野党連合政権を誕生させるよう、総選挙に向けて取り組みを強めたい」と意気込みを語ります。


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