2021年4月23日(金)
首相の訪米報告に対する井上議員の質問(要旨)
参院本会議
日本共産党の井上哲士議員が21日の参院本会議で行った、菅義偉首相の訪米報告に対する質問(要旨)は次の通りです。
日米共同声明は、日本の「自らの防衛力強化」の誓約や、両国の「抑止力及び対処力」や「核の傘」の強化、「サイバー及び宇宙を含む全ての領域を横断する防衛協力」の深化、辺野古新基地や馬毛島の軍事拠点化推進などを明記しました。地球的規模での日米の軍事的共同を全面推進し、核兵器禁止条約など世界の流れに逆行し、日本国民に犠牲と負担をもたらします。
米国は、在日米軍駐留費負担の大幅増や、日本の軍事費を国内総生産の2%に倍加することを求めています。際限ない軍事費拡大の道を突き進むことになるのではありませんか。
本年度予算には、新型ミサイルの探知・追尾をめざして多数の小型人工衛星を打ち上げる米国の衛星コンステレーション計画への参加検討予算が計上されました。米国は移動する地上・海上目標に照準を合わすことも追求しており、計画に参加すれば、攻撃のための目を得ることになります。敵基地攻撃能力の保有につながるのではありませんか。
共同声明は、中国の東シナ海での一方的な現状変更の試みや、南シナ海での不法な海洋権益に関する主張・活動への「反対」を表明し、「香港及び新疆ウイグル自治区における人権状況への深刻な懸念」を表明しています。
これらの問題で重要なのは、同国の国際法違反の主張と行動を具体的に指摘し、国際法の順守を冷静に求めることです。共同声明には、同国の覇権主義を象徴する中国海警法に言及がありません。日米間で同法の国際法違反についてどのように議論したのですか。
中国による重大な人権侵害は、世界人権宣言、国際人権規約、ウィーン宣言などの国際的な人権保障の取り決めに反する国際問題です。なぜ、声明で国際問題だとの批判が欠落しているのですか。
台湾問題は、台湾住民の自由に表明された民意を尊重すべきです。中国による軍事的圧力・威嚇の強化にも、日米両政府の台湾問題に軍事的に関与する方向にも断固反対です。米中双方に緊張を高める行動を慎むよう働きかけ、平和的解決を促すべきです。
共同声明にはミャンマー情勢も盛り込まれました。日本政府は、国軍の利益につながることは一切行わないこと、ミャンマー市民の立場に立つことをより明確に示すべきです。同国への政府開発援助は、人道目的を除き事業を停止して、国軍系企業の関与などを調査し、支払い凍結などの措置をとるべきです。