2021年4月23日(金)
RCEP承認案に対する紙議員の質問(要旨)
参院本会議
日本共産党の紙智子議員が21日の参院本会議で行った地域的な包括的経済連携協定(RCEP)承認案についての質問(要旨)は次の通りです。
RCEP協定はASEAN(東南アジア諸国連合)10カ国と日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランドの15カ国からなるFTA(自由貿易協定)であり、日本にとって中国と韓国との間での初めての経済連携協定になります。
それなのに2013年5月の交渉開始以来、国民生活に一体どんな影響があるのか国会にも国民にも知らせないまま署名しました。
RCEP協定は世界のGDP(国内総生産)、貿易総額および人口の約3割を占めるなど、世界で最も大きいメガFTAであり、わが国の貿易総額のうち約5割を占めています。メガFTAは単独ではなく、相互に関連しあい経済や政治に影響を与えます。あらためて過去に政府が締結したFTAと比較、検証できる資料を国会に提出すべきです。
政府は重要5品目を関税削減・撤廃の対象から「除外」したから、「国内農業に格段の影響はない」として、影響試算を出していません。本当に、影響がないと胸をはって言えるのですか。
コメの転作作物として政府が重視している「高収益作物」への影響は深刻です。生鮮野菜の輸入の8割はRCEP諸国から入っています。それなのに、ASEAN10カ国、オーストラリア、ニュージーランドに対しては、タマネギ、ネギ、ニンジンなどは関税が撤廃か、削減されます。
また、韓国以外のRCEP諸国に対しては、ショウガ、ゴボウ、エンドウ、生鮮ブロッコリー、インスタント食品に使われる乾燥野菜などが関税削減・撤廃されます。北海道、高知、千葉など産地への影響は明らかです。
果実への影響も深刻です。オレンジ果汁、ミカンとキウイの関税率は韓国を除いてゼロ、リンゴ、ブドウは中国、韓国を除いてゼロ、柿、桃、梨もゼロになります。青森、長野、山梨など、多くの県への影響が懸念されます。
この間、輸入自由化が進み、農林水産物の輸入額は13年の8兆9500億円から9兆5000億円へと増加し、食料自給率は38%と低迷しています。このことが、日本の生産基盤の弱体化につながっているのではありませんか。
しかも協定には、発効後5年目の「一般的な見直し」とともに、関税率については「2年以内」に見直すこととしています。
コロナ・パンデミックを経験して、自由化一辺倒の貿易ルールでいいのかが、問われています。経済主権と食料主権を軽視する貿易ルールと決別すべきです。