2021年4月29日(木)
国内 米軍属1.8倍に
特権そのまま 増加続く
沖縄・うるま 女性殺害5年 教訓どこに
外務省情報隠し
在日米軍基地などで働き、日米地位協定の特権が与えられている米軍属の総数が1月13日時点で1万2631人に上り、このうち米軍と契約する請負業者(コントラクター)の被用者も3183人と、2019年から増加していることが外務省への取材で分かりました。
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16年4月に沖縄県うるま市で発生した、当時軍属だった元米海兵隊員による女性暴行殺人事件から28日で5年が経過。地位協定第1条は軍属を定義していますが、幅広い解釈が可能で、本来なら対象にならないような民間業者さえ軍属に含めていました。同事件の加害者もインターネット関連会社の社員でしたが、軍属の地位を与えられていました。軍属は、「公務」中の事件・事故で米側が第1次裁判権を持つなどの特権を持っています。
同事件を受け、軍属の範囲を「明確化」して対象を絞るための補足協定が日米両政府の間で17年1月に結ばれましたが、軍属の総数は2019年9月12日時点から1351人増え、コントラクターの被用者は687人増えました。
うるま市の事件後、17年10月末時点で軍属7048人、被用者2341人でした。その後、18年10月末で軍属1万1857人、被用者2224人、19年9月12日時点で軍属1万1280人、被用者2496人と推移。17年と比べて、軍属は約1・8倍に増えており、補足協定に何の効果もないことが浮き彫りになりました。
補足協定は、コントラクターの被用者について適格性の評価基準を作成するとしましたが、その評価自体は米政府が行うとしており、米側の裁量次第です。
重大なのは、こうした情報を外務省が隠してきたことです。補足協定は、米国政府がコントラクターの被用者を含む軍属全体に関して定期的な報告をすることとしています。
しかし、外務省がホームページで米側の報告を公表したのは、19年1月25日が最後。19年9月時点と今年1月時点の数字は公開していません。米軍は外務省が情報を公開しなかったことで、野放図に軍属を増やしてきたといえます。