2021年5月4日(火)
主張
米軍低空飛行激化
無法行為の異常な急増許すな
米軍機の低空飛行訓練が各地で激化しています。確認できただけでも、徳島、高知、愛媛、鹿児島の4県で目撃件数や日数が過去最多を記録しており、沖縄や東京などでも大きな問題になっています。住民に猛烈な爆音被害や墜落事故への恐怖を与えている米軍の無法を放置することは許されません。
各地で過去最多を記録
四国には、徳島、高知、愛媛の山間部を横断する「オレンジルート」という、米軍が勝手に設定した低空飛行訓練経路があります。
愛媛県では、2020年度に米軍機の可能性がある目撃情報が345件に上りました。集計を始めた1994年度以降でこれまで最も多かった2012年度と19年度の95件の3・6倍にもなります。
高知県では、20年に把握した飛行回数が252回と19年の116回の2倍以上となり、県が公表を始めた14年以降で最多です。
徳島県では、20年度の目撃日数が19年度に比べて18日増の75日間で、記録を取り始めた1990年度以降で最も多くなっています。
あまりに異常な急増ぶりです。昨年から今年にかけて3県の知事はそれぞれ、県民が不安を抱くような飛行の中止を米国に働きかけるよう政府に要請しています。
四国では、目撃件数や日数が激増しただけでなく、機種や場所にも大きな変化があります。
機種では、従来の戦闘機に加え、輸送機や垂直離着陸機オスプレイが多く目撃されています。場所では、オレンジルートを外れた愛媛・高知両県西部を頻繁に飛行し、「新たな訓練区域・ルートができたのでは」と指摘されています。
低空飛行訓練急増の要因の一つは、2018年3月に岩国基地(山口県)への米空母艦載機の移駐が完了し、同基地の所属機が約120機に倍増したためとみられています。実際、岩国基地に近い米軍訓練空域「エリア567」下にある島根県浜田市や広島県北広島町などでも増加が顕著とされます。
もう一つは、米軍の新たな作戦構想です。米空軍は、離島にある劣悪な滑走路などで戦闘機に迅速な補給・整備を行うため、必要最低限の燃料や弾薬、整備機材・要員などをひとまとめにしてC130輸送機で運ぶ「機敏な戦闘運用」(ACE)という作戦構想を進めています。台湾や南シナ海などをめぐる中国軍との戦闘を想定したものです。輸送機の目撃が増えていることと関係があるとされ、その多くが横田基地(東京都)所属のC130と推測されています。
米軍機の低空飛行訓練は、鹿児島でも20年度の目撃情報が137件と集計を開始してから最高になっています。うち奄美市が90件と突出しています。敵地への侵入を任務にしたMC130特殊作戦機などによるものと指摘されています。沖縄でも同機の低空飛行訓練が頻繁に目撃されています。
米軍に航空法の適用を
東京では、米軍ヘリが新宿駅周辺で、日本の航空法が禁止する人口密集地での高度300メートルを下回る飛行を繰り返していることが判明しています。米軍は日米地位協定に基づく特例法で航空法の適用が除外されているためです。
日本の主権を侵害し、国民の命と暮らしを脅かす米軍機の低空飛行訓練をやめさせ、航空法の適用などのため地位協定を抜本的に改定することがいよいよ必要です。