2021年5月12日(水)
土地利用規制法案に対する赤嶺議員の質問
衆院本会議
日本共産党の赤嶺政賢議員が11日の衆院本会議で行った、土地利用規制法案についての質問の要旨は次の通りです。
本法案は、政府が安全保障上重要とする全国の米軍・自衛隊基地、海上保安庁の施設、原発などの周囲約1キロメートルと、国境離島で暮らす住民を監視対象にし、土地・建物の利用を中止させることを可能にするものです。憲法の平和主義と基本的人権をふみにじる違憲立法にほかなりません。
基地周辺住民は、軍用機の墜落や部品落下、爆音、環境汚染、軍関係者による犯罪など基地あるがゆえの被害に日常的に苦しめられています。とりわけ、沖縄の住民は、米軍占領下で一方的に土地を奪われ、基地周辺に住むほかなかったのです。国策により、負担を強いてきた住民を監視の対象にするとは一体どういうことですか。住民を愚弄(ぐろう)するものです。
政府は、法整備の根拠として、北海道千歳市や長崎県対馬市の自衛隊基地周辺の土地を外国資本が購入したことを挙げますが、それらが一部メディアで取り上げられるようになったのは10年以上も前のことです。
当初から政府自身が運用に支障が生じるような事態は確認されていないと答弁し、さらに2013年度以降、2度にわたり、全国約650の米軍・自衛隊基地の隣接地を対象に、約6万筆、8万人近くの所有者らを調査しましたが、結果は同じでした。法案の必要性、立法事実が存在しないではありませんか。
政府がこうした法整備に踏み切ることは、排外主義的な主張にお墨付きを与え、特定の国に対する差別と偏見を助長することになるのではありませんか。
重大なのは、どこで誰をどのように調査・規制するかという核心部分を政府に白紙委任していることです。何カ所の施設と離島を対象に検討し、どういう基準で指定するのですか。「特別注視区域」の指定基準は何ですか。
調査範囲を拡大すれば、膨大な数の国民が調査対象にされるのではありませんか。
重要施設や国境離島の機能を阻害する行為やその明らかなおそれがあれば、土地・建物の利用を中止させるとしていますが、どう判断するのですか。
公募情報にとどまらず、職歴や海外渡航歴、思想・信条、家族、交友関係まで調査するのではありませんか。
沖縄では辺野古新基地建設に抗議の座り込みが続いていますが、こうした活動に機能阻害行為を適用するのですか。憲法が保障する基本的人権と民主主義、地方自治を守る活動を処罰の対象にするなど断じて容認できません。本法案は廃案にすべきです。