2021年5月19日(水)
「緊急事態条項」では“独裁”に コロナには科学・納得・補償を
BS番組 小池書記局長が出演
日本共産党の小池晃書記局長は17日夜、私権制限と憲法改定をテーマにしたBSフジの番組「プライムニュース」で、「科学的根拠と市民の納得に基づく自発的な協力、十分な補償があってこそ、私権制限を含めた公衆衛生政策は成り立つ」と主張し、自民党と菅政権がコロナ危機を口実に「改憲4項目」の緊急事態条項の創設を狙う姿勢を厳しく批判しました。
小池氏は、感染症のまん延防止のためには一定の私権制限があり得ることを否定しないと前置きする一方で、ハンセン病患者やその家族に対する重大な差別に触れ、「法律整備の際には、感染症の差別と偏見の歴史を踏まえなければならない」と強調。自由を制約することが正当化できるほどの事態の重大性と、制限の方法に関する科学的根拠が必要だと述べました。
小池氏は、私権制限の議論の前に行政と立法がすべきことは、世界117位と遅れたワクチン接種の加速化や医療機関などへの戦略的な大規模PCR検査の実施、十分な補償だと述べ、「私権制限を進めながら、五輪開催というのは成り立たない」と五輪中止を訴えました。
自民党の柴山昌彦幹事長代理は「補償が中途半端だった」と言及。小池氏は、英国が給与の8割、フランスが飲食店に月額1万ユーロを支援し、ドイツが売上の75%を補償するなど実態に即した補償を実施していると紹介し、「まん延防止措置や緊急事態宣言の効果が得られないのは、店を開けないと生きていけない、事業を継続できないからだ。補償を抜本的に拡充し、持続化給付金や家賃支援金も再度出すべきだ」と述べました。
司会の反町理氏は「私権制限のために改憲が必要ではないか」などと問題提起しました。
小池氏はこの間の世論調査結果で、憲法に緊急事態条項を盛り込むことへの賛成が増えていることに触れ、「緊急事態宣言」との混同があるのではないかと指摘。法律に基づく「緊急事態宣言」と改憲の緊急事態条項の創設は、全く違うと述べ、「新型コロナ特措法などによる私権制限には、憲法の歯止めがある。憲法の下で人権侵害の暴走を止めることができる」と説明し、「それに対して憲法に緊急事態条項を設けることは、憲法のない状態をつくりだすということであり、内閣に権力を集中する“独裁体制”だ」と批判しました。
さらに自民党改憲草案(2012年)が定める「緊急事態」は武力事態も含め法律による認定でいくらでも解釈の拡大が可能であり、国会に対しては事後報告で、その「緊急事態宣言」の効力が続く限り衆院は解散されないと問題点を指摘。「無制限の憲法停止状態となるような緊急事態条項の議論をいま持ち出すのは、コロナ危機を利用した火事場泥棒と言うほかない」と糾弾しました。
阪田雅裕・元内閣法制局長官は「緊急事態は法律で対応できる。改憲の必要性はない」と批判。橋下徹・元大阪市長は「政府与党への信頼は低い。今の状態で議論しても誰もついてこない」と述べざるを得ませんでした。