2021年5月22日(土)
病床削減推進法に対する倉林議員の反対討論(要旨)
参院本会議
日本共産党の倉林明子議員が21日の参院本会議で行った病床削減推進法に対する反対討論(要旨)は次の通りです。
第1の反対理由は、新型コロナ感染症の拡大で医療の逼迫(ひっぱく)が広がるなか、消費税を財源とした補助金で病床削減を支援することを法定化することです。今年度は195億円が計上され、削減される病床は単純計算で1万床規模にのぼります。医師や看護師の体制後退にもつながります。
コロナ危機が明らかにしたのは、重篤化しても入院できず、命の選別が迫られる脆弱(ぜいじゃく)な医療体制です。地域医療構想はパンデミックを想定せず、高度急性期・急性期を中心に約20万床も削減するものです。命が守れる必要病床数を再検証すべきです。病床削減の補助金は廃止し、予算はコロナ禍で苦闘する医療機関・医療従事者にまわすべきです。436の公立・公的病院の再編統合リストの撤回を強く求めます。
第2に、医師の過労死を容認するものに他ならないからです。
政府はすべての勤務医に年960時間の時間外労働上限を設けるとともに、年1860時間を上限とする特例を認めようとしています。960時間は過労死ライン、1860時間はその2倍にあたります。異常な働き方を合法化し、医師の過労死の増加につながるもので、到底容認できません。法案は1860時間が上限の医師に追加的健康確保措置を求めていますが、正確な労働時間を把握する担保はありません。最低限、客観的な時間把握を義務付けるべきです。
政府は、将来は供給過剰になるとして医師数を抑制しようとしています。しかし、高齢者増に伴う医療需要は想定せず、労働時間も過労死ラインを前提とするなど実態とかけ離れています。需要推計を見直し、医師を抜本的に増員すべきです。
第3に、医師不足に対応するため、タスクシフト(業務移管)を推進、医師養成課程を見直すことです。医師・看護師の絶対的不足を放置したまま侵襲性の高い医療行為の業務移管を進めれば、質・安全性を脅かしかねません。新設される「重点外来」のうち、一般病床200床以上の病院は紹介状なしの場合、窓口定額負担の徴収が義務付けられます。窓口負担の拡大は受診抑制を招きかねません。
コロナ禍で奮闘する医療現場から、「使命感だけでは安全は守れない。働き続けられない」と悲痛な声があがっています。医療崩壊の現実を踏まえれば、医師・看護師の抜本的な増員、医療提供体制の拡充こそ急務です。