2021年5月28日(金)
産業競争力強化法等改定案
岩渕議員の質問(要旨)
参院本会議
日本共産党の岩渕友議員が26日の参院本会議で行った産業競争力強化法等改定案についての質問(要旨)は次の通りです。
1990年代以降、歴代政権が行ってきた規制緩和や構造改革は何をもたらしたでしょうか。産競法の前身である産業活力再生特措法は、自動車をはじめ大企業の生産拠点の海外移転を促進し、海外生産比率は99年度の23%から18年度には38・2%に拡大。一握りの大企業が空前の利益をあげる一方、国内では産業の空洞化、地方の疲弊、雇用破壊がもたらされ、それが消費を冷やし、国内経済の長期にわたる低迷が続いてきました。
日本経済がよくなるどころか、格差と貧困が拡大しただけではありませんか。こんな方向を続けていては国内経済も国民のくらしもよくならないことを指摘しておきます。
法案の第一の問題点は、「グリーン社会への転換」の名で、原発を強力に推進しようとしていることです。
昨年12月に決定された「グリーン成長戦略」では、カーボンニュートラルへの挑戦を「経済と環境の好循環」につなげるための産業政策として位置づけ、原子力を「確立した脱炭素技術」として最大限活用するとしています。法案でも「グリーン社会」への転換のために活用する非化石エネルギー源から原発を排除していません。
原発事故は終わったと言わんばかりに、原発に固執し、「脱炭素」を口実に原発の再稼働、推進に突き進むなど許されません。原発ゼロを決断し、省エネ、再エネ中心のエネルギー政策へ転換するべきではありませんか。
菅総理は、温室効果ガスを2030年度までに13年度比で46%削減する目標を表明しました。しかし、パリ協定の気温上昇1・5度抑制を実現するにはあまりに不十分です。石炭火力の輸出、国内発電とも全廃すべきではありませんか。
第二の問題点は、「中小企業の足腰の強化」といいながら、淘汰(とうた)・整理をすすめようとしていることです。
法案は、コロナ禍を奇貨とし「産業の新陳代謝」を掲げますが、事業再構築を通じて、リストラや中小企業の切り捨てが促進されることも懸念されます。
日本の中小企業は、小さくてもキラリと光る技術で海外でも認められてきました。大きくなればいいというものではありません。
2020年の「中小企業白書」も示す通り、中小企業の生産性向上を阻害しているの一番の原因は、大企業に比べ中小企業は価格転嫁力が弱いことです。生産性を上げるというなら、立場の弱い中小企業が価格転嫁できるよう、下請け関係法制などの規制を強化すべきです。