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2021年5月30日(日)

主張

河井事件と自民党

1億5000万円の責任逃れ許すな

 2019年の参院選広島選挙区での河井案里元参院議員と夫・克行元法相による大型買収事件をめぐり、河井陣営に1億5000万円の巨額資金を提供した経過や使途などを説明しない自民党本部に批判が上がっています。二階俊博幹事長ら同党幹部は自身の関与を否定するだけで、国民の疑念にこたえようとしません。自民党総裁として案里氏を選挙に担ぎ出し当選のために強力にテコ入れした安倍晋三前首相もだんまりを続けています。菅義偉首相も解明に背を向けています。無責任で不誠実この上ない態度です。自民党は国民に全てを明らかにすべきです。

資金提供決めたのは誰か

 河井夫妻は、票取りまとめ依頼の趣旨で地方議員や首長ら100人に約2900万円の現金を配り買収で逮捕・起訴されました。案里氏は有罪が確定し、克行氏も判決が来月言い渡される予定です。

 問題は、大規模買収にあてられた資金の出所です。克行氏は公判の中で「手持ち資金」と主張しましたが、その根拠は具体的に示していません。2月の公判では、選挙運動員の買収についての現金は自民党本部からの資金が原資だったと述べた河井陣営の元会計責任者の調書が読み上げられました。党本部からの1億5000万円が地方議員らの買収に使われた疑いは濃厚になるばかりです。

 提供資金の8割にあたる1億2000万円が政党交付金だったことは重大です。税金が民主主義を揺るがす選挙買収の資金に投じられていたとすれば言語道断です。

 国民の怒りを招いているのは、真相を語らず責任逃れに終始する自民党幹部の姿です。二階幹事長は17日の会見で「支出された当時は私は関係していない」と関与を否定し、二階氏側近の林幹雄幹事長代理は、当時の甘利明選挙対策委員長が広島を担当していたと述べました。甘利氏が「1ミクロンも関わっていない」(18日)と主張すると、二階氏は、支出を最終的に決定した責任者は「党総裁および幹事長だ」(24日)と発言しました。しかし、名指しされた安倍前首相は25日、国会内で記者団から関与について質問されても一切答えません。二階氏もそれ以上踏み込んだ発言をしません。誰も説明責任を果たさないのは大問題です。

 1億5000万円もの資金提供は、同じ広島選挙区に出馬し落選した自民党現職陣営への10倍にのぼります。安倍氏の意向もなく、これほどの金額は動かせないとされます。河井陣営には4日にわけて資金が振り込まれましたが、安倍首相は送金日の前後に克行氏と面会を重ねています。安倍氏とともに、当時の官房長官として案里氏の選挙支援を熱心に行った菅首相の責任も厳しく問われます。

自浄能力のなさ浮き彫り

 首相は、検察に書類が押収され説明できないと言いますが、案里氏は有罪が確定し、克行氏の裁判も事実上終結しており、請求すれば資料の還付は可能と指摘されています。資料がないなどの言い訳は通用しません。

 河井事件について「他山の石」(二階幹事長)「根掘り葉掘り踏み込まないでほしい」(林幹事長代理)などの発言が自民党内で繰り返されること自体、同党の無反省を示しています。自浄能力を完全に失った政党に政権をまかせることはできません。


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