しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2021年5月31日(月)

異次元の大軍拡狙う

政府・自民 コロナ禍でも「手緩めるな」

背景に米国の要求

 第2次安倍政権の発足以後、9年連続(2013~21年度)で前年度を上回り、7年連続で過去最高を更新している軍事費に歯止めがかからず、コロナ禍の下でも異次元の軍拡に突き進む兆候が表れています。

 自民党政務調査会は25日、軍事費の大幅な増額を求めた提言案をまとめました。同案は「2000年以降、中国の国防費は10倍以上に膨らみ、今やわが国の約4倍」になったと指摘。4月の日米首脳会談で発表された共同声明で、日本が「自らの防衛力を強化する」と決意したことをあげ、達成できなければ「状況の更なる悪化を招く」としています。ここで言う「防衛力強化」は、台湾有事への参戦など、「対中国」での軍事的役割の拡大を求めた米側の要求を踏まえたものです。

 提言は、「現在わが国は、新型コロナウイルス感染症への対応に総力を挙げて取り組んでいる」としながら、「(軍事力強化の)手を緩めることは許され」ないと強調。NATO(北大西洋条約機構)諸国がGDP(国内総生産)2%以上の軍事費支出を目標としていることに触れ、「防衛関係費を抜本的に増額」するよう求めています。

 政府は1976年以降、軍事費の「GNP(GDP)1%」以内を不文律としてきました。21年度の軍事費は過去最高の5・34兆円ですが、それでも本予算に限れば「1%」未満です。

 これに関し、岸信夫防衛相は「我々はGDPの対比で考えていることはない」「従来と抜本的に異なる速度で防衛力を強化しないといけない」と発言(「日経」20日付)。加藤勝信官房長官も20日の記者会見で、岸氏の認識を追認しています。

 岩屋毅防衛相(当時)は、軍事費をNATO基準で算定した場合、GDP比で最大1・3%になるとの試算を示しています(19年4月9日、衆院安保委員会)。さらにGDP比2%を目標にすれば10兆円規模となります。たがが外れた大軍拡で社会保障費などのさらなる削減は避けられません。

 自民党は近く、菅義偉首相に提言を提出します。政府が6月に取りまとめる経済財政運営の基本指針「骨太の方針」に「反映させる」(関係者)狙いです。大軍拡の危険を直視する必要があります。


pageup