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2021年6月3日(木)

主張

前経産相の議員辞職

幕引きを許さず徹底解明こそ

 菅義偉首相の側近議員の一人、菅原一秀前経済産業相が衆院議員の辞職願を提出し、自民党に離党届も出しました。東京地検特捜部は、菅原氏が選挙区(東京9区)内の祭りなどの際、有権者に現金を提供していた疑惑で捜査しており、公職選挙法違反で近く略式起訴すると報じられています。菅原氏については、秘書を通じて有権者に香典を届けたことなども問題になっています。票をカネで買う民主主義破壊の行為を繰り返してきたことは重大です。菅首相には疑惑を説明する責任があります。議員辞職や離党で幕引きすることは許されません。

買収の常習行為にメスを

 菅原氏は2019年9月、安倍晋三首相の下での内閣改造で初入閣しました。その直後、選挙区内の支持者らに高級メロンやカニなどを配っていたことや、支援者の葬儀に秘書が香典をもっていったことなどが『週刊文春』の報道で発覚し、同年10月に経産相を辞任しました。公選法は国会議員や候補者が選挙区内で金銭や物品を配ることを買収として禁じています。香典も議員本人が出席して渡す場合以外は禁止です。菅原氏の行為は明白に違法です。

 東京地検は昨年、香典などの寄付を違法と認定したものの、不起訴(起訴猶予)にしました。これに対し東京第4検察審査会が今年2月、「起訴相当」と議決したため、特捜部は再捜査してきました。

 再捜査の中で、菅原氏は、夏祭りや盆踊り、日帰り旅行を主催する選挙区内の町内会や商店会に対して「祝儀」や「会費」などを名目に1回あたり数千円~1万円程度の提供を繰り返していたことが明らかになったとされます。事情聴取された菅原氏は現金を配布したことを認めたといわれます。

 菅原氏は経産相辞任以降、国民にまともに説明していません。議員辞職願を提出した際も「じくじたる思い」などと記したコメントを出しただけです。無反省で無責任極まる態度です。

 菅原氏が現金をどのような規模で有権者に配っていたのか、全容は解明されていません。買収が常習行為だった疑いは濃厚です。菅原氏を国会に呼び、全てを明らかにすることが不可欠です。

 第2次安倍政権以降、「政治とカネ」で辞任する閣僚が相次ぎました。任命した安倍前首相も国民への説明責任を一切果たしていません。河井克行元法相・案里元参院議員の大規模買収事件でも党本部からの1・5億円の資金提供についての経過を話そうとしません。安倍氏自身の「森友」「加計」「桜を見る会」疑惑でも追及から逃げ回るばかりです。

菅政権の責任は免れない

 菅首相は菅原氏や河井氏をとりたててきた張本人です。菅原氏の辞職願について「回答することはない」(2日)と取材に応じないことは大問題です。4月まで菅原氏を衆院厚生労働委員会の筆頭理事に起用してきた自民党の責任も問われます。同党の二階俊博幹事長は1日、菅原氏の辞職願にからんで、自民党は「ずいぶん、政治とカネの問題できれいになってきている」と開き直りました。吉川貴盛元農林水産相や河井夫妻らが次々と議員辞職した事態を異常と感じないのか。金権腐敗政治を一掃するためにも自民党政治を終わらせることが重要です。


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