しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2021年6月5日(土)

土地利用規制法案に対する田村議員の質問

参院本会議

 日本共産党の田村智子議員が4日の参院本会議で行った土地利用規制法案の質問(要旨)は次の通りです。


 本法案は、政府が安全保障上重要とする全国の米軍基地、自衛隊基地、原発などの周囲約1キロメートル、また国境離島を「注視区域」「特別注視区域」に指定し、区域内の土地・建物の所有や利用に関する調査、利用の制限、「特別注視区域」内の不動産取引の事前届け出の義務付けなどを行うものです。

 日本国憲法は、自由に居住地を選択し、土地や建物を所有する権利を保障しています。この基本的な権利を、国家が「安全保障」の名のもとに直接制限する違憲立法です。

 本法案は、自治体からの不安の声を根拠としていますが、政府が根拠とした16件の意見書は、森林や水源地などが外国資本に買収され乱開発されるのではないか等の危惧です。漠とした不安に乗じて、国家が国民監視のフリーハンドを得るための立法ではありませんか。

 法案では、内閣総理大臣は、特別注視区域を含む注視区域の土地・建物の利用状況について「調査を行う」とし、所有権・賃借権を持つ者に加え、その他関係者も情報収集の対象としています。いったい誰を対象とした調査なのでしょうか。調査のために、内閣総理大臣が自治体や国の行政機関に情報提供を要請した場合、自治体等は、氏名、住所などを「提供する」としていますが、これは義務規定でしょうか。

 調査の目的は、重要施設等の機能を阻害する行為、その恐れのある行為を目的とした土地等の利用をやめさせることだとしています。「行為」の調査は日常的な行動監視が必須ではありませんか。

 調査にもとづき、利用をやめるよう勧告、命令することができるとしています。これは、特定の行為への措置に限定されるのか、それとも土地・建物の利用そのものをやめるよう求めることも含まれるのでしょうか。

 勧告に従わなかった利用者は、懲役2年以下または200万円以下の罰金が科せられますが、不服申し立ての規定がないのはなぜでしょうか。

 特別注視区域内の土地・建物の売買等契約について、契約当事者は内閣総理大臣に、氏名、住所、売買物件の所在地・面積、利用目的などの情報を、あらかじめ届け出ることを義務付けています。届け出を怠っただけで、懲役刑など刑事罰まで科すほどの問題とは何でしょうか。

 戦前戦中、要塞(ようさい)地帯法や軍機保護法などにより、軍事施設や軍需工場などの周辺で写真撮影やスケッチをしただけで、国民はスパイ扱いされ罰せられました。この法案はまさに不安に乗じた国民監視法であり、廃案にするために全力をつくします。


pageup