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2021年6月11日(金)

主張

NTT接待報告書

疑惑は払しょくされていない

 総務省幹部などへの接待問題についてNTTが7日、調査報告書を公表しました。2016年~20年にかけて費用を折半しない会食が29件あり、うち5件は大臣など政務三役が出席していたと認定しました。同社は、同省幹部の国家公務員倫理規程違反を「誘発・助長」したとして澤田純社長ら16人を処分しました。一方、報告書は、「便宜供与」や「行政をゆがめた事実」は確認されなかったと結論付けました。しかし、接待が常態化していた背景や動機などの突っ込んだ説明はありません。これで幕引きは許されません。

法令違反を誘発・助長

 NTT接待疑惑は3月に『週刊文春』が報じ、菅義偉首相の長男・正剛氏が勤める放送関連会社「東北新社」の接待とともに国会で追及されました。総務省は高額接待された幹部を処分しましたが、全体像は依然として明らかになっていません。

 NTTの調査は同グループ主要6社の執行役員以上が参加した会食が対象です。NTT側が費用の多くを負担した会食が少なくとも29件あったとしたことは癒着の根深さの一端を示しています。

 政務三役の会食が5件確認されたことも見過ごせません。報告書は、NTTグループに対し許認可などの権限を持つ政務三役の在任期間中の接待は、大臣規範違反をはじめ「国民の疑惑を招きかねないものであった」などと指摘しています。

 報告書は名前を伏せましたが、これまでに野田聖子・自民党幹事長代行(2件)と高市早苗衆院議員(2件)の2人の元総務相、坂井学・内閣官房副長官(1件)と寺田稔衆院議員(1件)の2人の元総務副大臣は在任中に会食があったことを認めています。4氏は費用を返還しており問題はないといいます。しかし、報告書が大臣規範違反の疑いを引き起こさないようにすべきだったと記したことを深刻に受け止めるべきです。

 接待が4政治家だけなのかという疑問は消えません。『週刊文春』3月18日号は、経験者を含む総務省政務三役への接待は「18年から20年までの3年間では計26回」と報道しています。昨年11月にあった澤田社長と武田良太総務相との会食に報告書が触れていないことも、納得できません。

 菅政権の目玉政策である携帯料金引き下げや、ドコモの完全子会社化が推進された時期に会食が集中していることについても疑念は消えません。報告書はNTTの当事者の証言をもとに、行政をゆがめていないとしていますが、あまりに不十分な調査です。

業者からも解明求める声

 NTT接待とドコモ完全子会社化について4月、ソフトバンクやKDDIなど通信事業者21社は連名で総務省に「徹底した真相究明」を要望しました。「行政の公正性」に疑義が生じたとして、行政対応の検証を要望しています。この声を無視してはなりません。

 NTTは政府が出資する会社で、人事などで政府に許認可権があります。国民生活に密接に関係する通信行政が接待でゆがめられていた疑いをあいまいにできません。総務省の第三者委員会は4日、東北新社の接待についての第1次報告書をまとめ、引き続きNTTについても調査を続けています。国会での解明は欠かせません。


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