2021年6月15日(火)
個人情報 丸ごと収集
土地規制法案 参考人が危険指摘
参院委 山添氏質問
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基地周辺や国境離島の住民、土地利用者を監視し、機能阻害のおそれがあれば土地の利用中止を命じ、応じなければ刑事罰を科すとする土地利用規制法案についての参考人質疑が14日、参院内閣委員会で行われ、日本共産党からは山添拓議員が質問に立ちました。
防衛ジャーナリストの半田滋氏は、地方自治体などに土地利用者の氏名、住所、「その他の政令」で定める情報の提供を求めることができるが、「その他」が何かは法制定後の政令までわからず曖昧だと指摘。政府が必要だと認めるとき土地利用者から報告または資料の提出を求めることができるとし、重要施設の近くに住むだけで個人情報が丸ごと政府に収集される、と同法案の危険性を強調しました。
また、弁護士の馬奈木厳太郎(まなぎ・いずたろう)氏は、同法案は「『等』や『その他』の表現で幅を持たせている。何より『内閣総理大臣』という主語が圧倒的に多く、28カ条の条文に33回も出てくる」と述べ、同法案は「国民の権利を保障するのでなく政権に権限を与える行政命令のような内容だ」と厳しく批判しました。
山添議員は同法案の区域指定、処罰対象、調査の主体、客体などが際限なく広がることが想定されることについて質問。同法案に賛成の立場の東京財団政策研究所研究員の吉原祥子氏も「一般論としてありうる」と可能性を認め、「歯止めを考えないといけない」と述べました。馬奈木氏は「戦前の要塞(ようさい)地帯法でさえ、何が処罰対象かを条文に規定していた。いったん法案ができてしまえば簡単に変えることはできない」と語気を強め、「今なら間に合う」と同法案の廃案を訴えました。