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2021年6月16日(水)

菅内閣に国政を担う資格なし

菅義偉内閣不信任案に対する志位委員長の賛成討論

衆院本会議

 日本共産党の志位和夫委員長が15日の衆院本会議で行った菅義偉内閣不信任案に対する賛成討論は次の通りです。


写真

(写真)賛成討論する志位和夫委員長=15日、衆院本会議

 私は、日本共産党を代表して、菅内閣不信任決議案への賛成討論を行います。

新型コロナ対応に失敗――三つの致命的欠陥

 不信任の第一の理由は、新型コロナ対応に失敗したことであります。

 今年に入って今日まで、東京では、緊急事態宣言は124日間、まん延防止重点措置を加えると138日間、実に83%の日々で、自粛につぐ自粛を求めざるを得なくなっています。これはやるべきことを怠ってきた政治の責任であり、菅政権による人災といわなければなりません。

 総理のコロナ対応には、三つの致命的な欠陥があります。

 第一は、科学に基づくコロナ「封じ込め」の戦略をもっていないことです。日本のワクチン接種数は世界111位、人口比のPCR検査数は世界140位です。ワクチンと検査という「封じ込め」の科学的基本がどちらもきわめて遅れています。

 とくに政府が、「検査を拡大すると医療崩壊が起こる」などのウソの議論をふりまき、検査を怠ってきたことは重大です。このことが感染をコントロールできず、変異株を把握できず、医療崩壊を招き、多くの命を損なう結果となりました。その責任は、きわめて重いと言わなければなりません。

 第二は、失敗から謙虚に学び、次の対策に生かすという姿勢がないことです。

 総理のコロナ対応で、誰が見ても失敗だということが明らかになっていることがいくつもあります。

 昨年秋、総理が、「Go To」事業に固執したことが、年末から年明けの感染拡大の「第3波」を招いたことは明瞭です。

 3月21日、緊急事態宣言を解除したことも、当時、新規感染者数が増加傾向にあり、変異株の危険が重大になるもとで拙速だったことは明瞭です。事実、4月25日には3度目の緊急事態宣言の発令を余儀なくされたではありませんか。

 総理が、これらの明瞭な失敗のうち、一つでも失敗と認め、反省を明らかにしたものがありますか。一つもありません。こういう姿勢では、国民が政府の対応を信頼しなくなることは当たり前ではありませんか。

 第三は、コロナ対応にまで「自己責任」論を持ち込んだことです。総理は、中小業者にとっての「命綱」となっている持続化給付金と家賃支援給付金を、一回きりで打ち切りました。3度も緊急事態宣言を発令しているのに、支援は一回きりとは、あまりに冷酷な政治ではありませんか。総理が、医療機関に対する減収補填(ほてん)をいまだに拒否し続けていることもきわめて重大であります。

 コロナ収束のためには、こうした致命的欠陥を根本からただすことが急務であるということを、私は訴えたいのであります。

国民に我慢を強いながら、五輪パラの開催強行は許せない

 不信任の第二の理由は、国民に長期間にわたる我慢を強いながら、感染リスクを拡大するオリンピック・パラリンピックの開催を強行しようとしていることです。

 政府分科会の尾身会長は、国会答弁で、かりに競技会場の中での感染が抑えられたとしても、オリンピック開催によって、国内で三つの点で人の流れが増えると指摘しています。第一は、全国から競技会場にのべ310万人ともいわれる観客が移動することです。第二は、競技会場=スタジアムの外で行われるさまざまなイベントに観客が集まることです。第三は、夏の4連休やお盆で、感染を避けようと、都会から地方への人の流れが起こることです。

 尾身会長は、これらの諸点を指摘し、「オリンピックを開催すれば、今より感染リスクが高くなるのはどう考えても普通だ。開催するというならリスクを最小限にすることが必要だが、ゼロにはできない」とのべました。

 リスクをゼロにはできないということは、オリンピック開催で、新たな感染拡大の波が起こる危険があるということです。そうなれば重症者が増え、亡くなる方が増えることも避けられません。私は、6月9日の党首討論で、総理に「国民の命を危険にさらしてまで、オリンピックを開催する理由は一体何なのか」とただしました。総理からは、まったく答弁がありませんでした。

 オリンピックは自然災害ではありません。人間が行うイベントなのです。私は、オリンピックを開催することで、新たに亡くなる方が増えるなどということはあってはならない、そういうオリンピックなら開催する意義はないと考えるものであります。

 政府が「オリパラ期間中はテレワーク実施を」などという方針を出したことは、国民の怒りの火に油を注いでいます。国民に対して、さらなる自粛と我慢を求めながら、感染拡大の巨大なリスクを抱えるオリンピックだけは何が何でも強行する。こんな支離滅裂な政治が許されていい道理はありません。

 オリンピック・パラリンピックは中止し、すべての力をコロナ収束に集中することを、重ねて強く求めるものであります。

パンデミックから学ぶ姿勢がまったくない――医療破壊法は許せない

 不信任の第三の理由は、新型コロナ・パンデミックから教訓を学び、今後の日本の政治に生かそうという姿勢がまったくないことであります。

 新型コロナ危機が明らかにしたことは、本来「ゆとり」があるべき医療や公衆衛生が、危機にさいして脆弱(ぜいじゃく)になってしまっているということでした。

 ところが、総理が、この国会で行ったことは、この弱点をただすどころか、医療を破壊する二つの法律――消費税を財源に病床削減を推進する法律、75歳以上の高齢者の医療費を2倍にする法律を強行することでした。

 コロナ危機のさなかに、ベッドを削り、高齢者の医療費を引き上げる。こんな血も涙もない政治を強行しておいて、よくも「国民の命と健康を守る」といえたものであります。私は、強い憤りをもって菅政権の暴挙に抗議するものであります。

 同時に、二つの医療破壊法の実施はこれからであり、総選挙での審判によってその実施を止め、医療に手厚い日本をつくるために力をつくす決意を表明するものであります。

強権と腐敗の政治を一層ひどくした――国政を担う資格なし

 不信任の第四の理由は、強権と腐敗の政治を一層ひどくしたことです。

 総理が、沖縄県民の総意を無視し、戦没者の遺骨が眠る南部の土砂を使って、辺野古新基地建設を強権的に進めていることは、絶対に許すわけにいきません。日本学術会議への違憲・違法の任命拒否を続けていること、国民を監視し、財産権を侵害する憲法違反の土地利用規制法案を強行しようとしていることも、断じて容認できません。

 その一方で腐敗が底なしじゃありませんか。昨年9月の菅政権発足以来、「政治とカネ」の問題で辞職した自民党の国会議員は、吉川貴盛元農水大臣、河井克行元法務大臣・河井案里元参議院議員夫妻、菅原一秀元経済産業大臣と、4人にのぼります。

 このうち誰一人として、国民への説明を行ったものはいません。自民党としての、菅総裁の責任での真相解明も一切行われていないではないですか。「他山の石」「政治とカネの問題できれいになっている」。信じられないような人ごとの発言が続いております。強権と腐敗の政治という点でも、菅政権に国政を担う資格はもはやありません。

 来たるべき総選挙で、市民と野党の共闘の力で、菅政権を倒し、国民が安心して希望をもって暮らせる新しい日本をつくるために全力をあげる決意をのべて、賛成討論といたします。


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