2021年6月17日(木)
日本共産党国会議員団総会 志位委員長のあいさつ
日本共産党の志位和夫委員長が16日の党国会議員団総会で行った通常国会閉会にあたってのあいさつは次のとおりです。
衆参の国会議員のみなさん、秘書団のみなさん、事務局のみなさんの連日のご奮闘に心からの敬意を申し上げます。とくに、参議院のみなさんの未明までの大奮闘、本当にお疲れさまでした。(拍手)
通常国会の閉会にあたりまして、ごあいさつを申し上げます。
土地利用規制法の強行、国会会期延長の拒否に強く抗議する
冒頭、本日未明、参議院で、政府・与党によって、土地利用規制法の採決が強行されたことに、強い憤りをもって抗議したいと思います。法案審議がすすむにつれ、国民を監視し、財産権を侵害する違憲立法の正体が浮き彫りになり、与党推薦の参考人からも危惧が語られるなど、多岐にわたる問題点が指摘されるもとでの強行は、絶対に許すわけにいきません。もちろん、たたかいはこれで終わりではありません。この悪法による人権侵害を許さないたたかいにとりくむとともに、違憲立法を廃止する新たなたたかいにとりくむ決意を固め合いたいと思います。(拍手)
いま一つ、強く抗議したいのは、政府・与党が、野党が提起した国会会期延長を拒否して、国会を閉じようとしていることです。コロナ対応、オリンピック・パラリンピック対応を考えても、ここで国会が「夏休み」に入るなど、決して許されるものでなく、政治の責任放棄というほかありません。閉会中審査、野党合同ヒアリングなど、国会としての行政監視機能を引き続き果たしていくために、可能なあらゆる努力をはかっていきたいと思います。
今国会を通じて、市民と野党の共闘は、着実な一歩前進をかちとった
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さて、菅政権に対する現時点での総括的批判は、昨日の内閣不信任決議案への賛成討論でのべました。繰り返す必要はないと思います。ここでは、この国会で、日本共産党議員団が果たした役割についてのべたいと思います。
この国会で、わが党議員団は、市民と野党の共闘をさらに前進させるとともに、日本共産党ならではの先駆的役割を果たすという二つの面で、国民の世論と運動と連帯して、重要な成果をあげることができました。
まず、野党共闘という点で、いくつかの重要な前進を記録しました。さまざまな点がありますが、3点ほどのべたいと思います。
自民党型予算の骨格に切り込んだ組み替え動議を共同提出
一つは、コロナ対策で、政権担当能力を示したということです。
とくに、2021年度政府予算案に対して、総額36兆円にのぼる組み替え動議を、日本共産党と立憲民主党が共同して提出した意義は大きなものがあります。
動議には、大規模検査とワクチン接種、医療機関への支援、生活困窮者への支援、持続化給付金や家賃支援給付金など事業者への支援などが盛り込まれるとともに、イージス・システム搭載艦購入、辺野古新基地建設、カジノ推進などの予算を削減してコロナ対策にという内容も盛り込まれました。すなわち、自民党型予算の骨格に切り込んだ組み替え動議となりました。
こうした動議を共同提出したことは、今後の共闘を展望しても、たいへん大きな意義があるということを私は強調したいと思います。(拍手)
入管法改定案を事実上の廃案に追い込む――「全件収容主義」をつく論戦
二つ目に、共闘の力で入管法改定案を事実上の廃案に追い込んだことは、昨年の検察庁法改定案の廃案に続く、たいへんに大きな成果であります。
政府・与党は、スリランカ人女性の死亡事件と切り離して、入管法改定を強行しようとしました。それに対して、私たちは、在留期限が切れただけで、入管の裁量で、問答無用で施設に追いやる「全件収容主義」こそ、現行入管制度の最大の問題点であること、スリランカ人女性の痛ましい事件はこの制度と不可分に結びついたものであるということを明らかにしてたたかいました。
こうした道理あるたたかいによって、政府・与党の“切り離し”の策動を打ち破り、入管法改定案を廃案に追い込んだことは、世論と運動、野党共闘の重要な勝利となりました(拍手)。引き続き現行入管制度の抜本的な民主的改革にとりくんでいきたいと思います。
三つの国政選挙での勝利――野党が力をあわせれば勝てることを証明
三つ目に、4月25日に行われた三つの国政選挙――北海道、長野、広島の補欠選挙・再選挙で、野党が3戦全勝をかちとったことは、野党が力をあわせれば自民党に勝てることを証明したものであり、今後につながる大きな勝利となりました。この選挙をうけて行われた立憲民主党との党首会談で、「総選挙での協力に向けた協議を開始する」ことで一致したことも、重要な一歩前進となりました。
全体として、今国会をつうじて、市民と野党の共闘は、着実な一歩前進をかちとったということを確認できると思います。
この流れを加速させ、総選挙における政権交代、新しい政権――野党連合政権を実現するために、引き続きあらゆる力をそそごうではありませんか。(拍手)
日本共産党ならではの先駆的論戦と活動――今後のたたかいに生かそう
同時に、この国会をつうじて、私たちが日本共産党ならではの先駆的論戦と活動を、さまざまな分野で行ってきたことを強調したいと思います。
五輪パラを中止し、コロナ収束に集中を――先駆性、科学性が発揮された論戦
わが党は、情勢の節々で、コロナ収束にむけた積極的提言を政府に提起するとともに、今夏のオリンピック・パラリンピックを中止し、コロナ収束に力を集中することを一貫して訴えてきました。
1月21日の衆院本会議の代表質問、衆参の予算委員会、関係各委員会、党首討論などで、「五輪より命を優先させよ」という追及を続けてきました。わが党の主張は、やがて国民の圧倒的多数の世論となり、政府の五輪対応にもさまざまな影響を与え、直面する都議選の大争点ともなっています。この論戦は、わが党ならではの先駆性、科学性が発揮された論戦となっていることを、私は強調したいと思うのであります。
五輪開催が近づけば近づくほど、国民との矛盾は広がり、激化せざるをえない
政府が五輪開催の方針に固執するもとで、五輪開催に批判と不安を持ちながらも、「中止は難しいのでは」という声も一部で寄せられています。私は、ここで2点ほど強調したいと思います。
一つは、五輪開催が近づけば近づくほど、国民との矛盾は広がり、激化せざるをえないということであります。
実際、各地でパブリックビューイングを中止する動きが広がっています。子どもたちを五輪に動員する動きへの反対が広がっています。
さらに、政府が「オリパラ期間中はテレワーク実施を」との方針を出したことは、国民の怒りの火に油を注ぐことになりました。この方針は、要するに、“五輪期間中は外に出るな、家でじっとしていろ”という方針にほかなりません。
このように、五輪開催を強行しようとすれば、国民に対してさらなる自粛と我慢を強いることは避けられません。国民にさらなる自粛と我慢を強いながら、感染拡大の巨大なリスクを抱える五輪だけは何が何でも強行する。この姿勢は、かつての「ほしがりません、勝つまでは」というスローガンを彷彿(ほうふつ)とさせるではありませんか。こうした支離滅裂な政治は、国民との矛盾をいっそう広げざるをえないでしょう。
五輪は自然現象ではない――政治が判断すれば、いつであれ中止できる
いま一つは、そもそも、当たり前のことですが、五輪は自然現象ではない。人間が行うイベントだということです。である以上、人間が中止を決めることはできます。政治が中止の決断をすれば、いつであれ中止することができます。
菅首相自身、(党首討論で)「国民の命と健康が守れなくなったら、やめると言っているじゃないですか」と言っているのですから、政府の決断いかんで中止はできるし、「国民の命と健康が守れない」ならば、いつであれ中止しなければなりません。
とくに、都議選の投票日は7月4日であり、ここで今夏の五輪中止を堂々と掲げる日本共産党が躍進すれば、中止に追い込む大きな力になるでしょう。首都東京での日本共産党躍進で、今夏のオリンピック・パラリンピックは中止し、コロナ収束に全力を――みなさん、この訴えを、広げに広げぬこうではありませんか。(拍手)
「暮らしSOS」を呼びかけ、困っている人への支援に一貫してとりくむ
コロナ対応では、わが党議員団が、「暮らしSOS」を呼びかけ、困っている人への支援を一貫して行ってきたことも特筆しておきたいと思います。
わが党国会議員団は、全国の地方議員団や民商のみなさんなどと協力して、持続化給付金の支給など、事業や生活で困っている人々の相談に乗り、運用の改善を求め、実際に手元に届くまで支援を行ってきました。仕事を失った労働者、なかでもシフト制労働者を、休業支援金の支援対象にするとりくみにも力を注いできました。
わが党議員団の国会事務所が、電話がひっきりなしにかかってくるコールセンターになるほどの奮闘を行ってきました。国民の苦難軽減のために献身する党の存在意義を発揮した活動として、引き続きとりくんでいきたいと思います。
医療破壊の大悪法――問題点を徹底的に暴き出したことは、今後につながる重要な意義
わが党議員団が、政府提出の悪法に対して、その本質をつく論戦によって、世論をリードし、政府を追い詰めてきたことも、今後につながる重要な活動であります。
とくに、病床削減推進法、高齢者医療費2倍化法という、医療破壊の二つの大悪法とのたたかいの先頭に立ち、衆参の論戦によって、その問題点を徹底的に暴き出したことは重要であります。
ここでもたたかいは、これからが重要だということを訴えたいと思います。高齢者医療費2倍化法の実施は来年10月以降であり、病床削減推進法の実施を決めるのは自治体であります。
その前に都議選、総選挙があるじゃありませんか。都議選、総選挙で、悪法を推進した勢力に厳しい審判を下し、医療破壊の悪法を止め、医療に手厚い政治への転換を求めて、頑張りぬこうではありませんか。(拍手)
少人数学級での前進――国民の運動と国会論戦の共同の成果
今国会の大きな成果として、いま一つ確認しておきたいのは、少人数学級での前進であります。3月、小学校の学級編成規模を35人にする法律が可決されましたが、これは実に40年ぶりの前進となりました。さらに、中学校の少人数学級も政府に約束をさせました。長年にわたる国民の運動とわが党の国会論戦の共同の成果として、お互いに喜びたいと思います(拍手)。一日も早い30人学級の実現のために、引き続き力をつくそうではありませんか。
日本共産党ならではのこうした先駆的論戦と活動の成果を、総選挙にむけて大いに語っていくことを訴えたいと思います。
憲法問題――3年間のたたかいに確信をもち、総選挙で決着をつけよう
ここで自民党などの改憲策動とのたたかいについて、のべておきたいと思います。
今国会では、国民投票法の改定が成立させられるという事態になりました。自民党がこれを改憲にむけた「第一歩」と位置づけるもとで、日本共産党がこの動きに対して、道理をつくして、最後まで反対を貫いたことは、大きな意義があるたたかいだったということを、まず確認したいと思います。
同時に、この間のたたかいで強調したいのは、安倍前首相が2017年5月3日に改憲宣言を行い、前回総選挙後の2018年の国会で、自民党が「改憲4項目」の議論を憲法審査会に持ち込もうとして以来3年間、今国会を含めて9国会にわたって、改憲案づくりの議論を許さなかったということであります。これは3000万人署名運動をはじめ、「安倍・菅改憲反対」を掲げた市民と野党の共闘の重要な成果であります。(拍手)
「安倍・菅改憲を許さない」――この点では、野党の共闘は揺らいでおりません。この3年間のたたかいに確信をもって、総選挙で決着をつける――総選挙で改憲策動に終止符を打つ審判を下すために意気高く奮闘しようではありませんか。(拍手)
都議選、総選挙躍進をめざして――二つの問題について
最後に、今後の活動について、少しまとまって話しておきたいと思います。
今後の党議員団の活動としては、閉会中の国会対応に積極的にとりくみながら、6月2日の常任幹部会の「訴え」にもとづいて、東京都議選と総選挙での躍進をめざす活動に、あらゆる力をそそぎたいと思います。
2点ほど強調しておきたい問題があります。
東京都議選の帰趨は、現瞬間での奮闘にかかっている
第一は、告示まで9日と迫った東京都議選の現局面と活動方向についてであります。
都議選について、この間、中央委員会と都委員会の合同で情勢分析を行いました。しのぎを削る大激戦のなかで、東京の同志をはじめ全党の大奮闘が展開されていますが、現時点での情勢分析では、わが党の到達点は、現有議席確保にかなりの距離があることを率直にお伝えしなければなりません。とくに他党派に比べて、ポスターと声の宣伝が遅れていること、対話・支持拡大の遅れの打開は急務となっています。
同時に、政治論戦では、コロナ対策、オリンピック・パラリンピック問題、東京都政の「四つのチェンジ」、日本共産党都議団の値打ちなど、他を圧倒しており、有権者から熱い反応と共感が寄せられています。これを、これからの宣伝・組織戦で全有権者規模で浸透させることができるならば、現有議席を確保し、さらに前進・躍進をかちとることは十分に可能であります。
まさに東京都議選の帰趨(きすう)は、現瞬間での東京都党組織と全党の奮闘にかかっています。
中央委員会と都委員会は、昨日、連名で、6月17日~24日に、宣伝・組織戦での遅れを抜本的に打開することを目標にすえた大作戦にとりくむことを訴えました。この大作戦を必ず成功させ、党躍進の流れをつくりだすなかで告示を迎え、首都決戦での勝利を必ずつかみ取ろうではありませんか。(「よし」の声、拍手)
すでにさまざまなとりくみをみんなでやっておりますが、私たち国会議員団、秘書団、事務局が、東京都党組織と心一つに頑張りぬくことを、誓い合いたいと思います。
総選挙躍進へ――「8月末まで」に、躍進の土台をつくりあげる
第二に、総選挙躍進にむけたとりくみについてのべたいと思います。
都議選躍進に力をそそぎつつ、同時に、全党の活動としては、総選挙躍進にむけたとりくみ、とりわけ比例代表で「850万、15%以上」を獲得するとりくみに、わき目もふらず全力をあげる必要があります。
解散・総選挙の時期は、9月以降の時期となることが、ほぼ確定的となりました。
そうしたもと、重視していただきたいのは、6月2日の常任幹部会の「訴え」が提起した目標についてであります。
「訴え」では、総選挙躍進をめざし、「8月末まで」という期限を区切って、「得票目標の実現に必要な支持拡大」をやりぬくこと、党員と「しんぶん赤旗」読者の拡大では「前回時回復・突破」をめざすこと――こうした踏み込んだ提起を行っています。
この期限と目標については、常任幹部会としても突っ込んで議論を行い、9日付の「しんぶん赤旗」の党活動面の「かこみ」でもその意義を解明しています。
それは、何よりも、「850万、15%以上」という目標をやりぬくためには、絶対に必要だという立場からの提起であります。同時に、すべての支部が総決起する状況をつくりだせば、一つ一つの支部にとっては十分やり遂げることができる目標となっていることも強調したいと思います。
みなさん、この目標に正面から挑み、総選挙躍進の土台を8月末までにつくりあげることに全力をそそごうではありませんか。(拍手)
文字通りの“勝負の夏”――躍進の先頭に立って奮闘しよう
今年の夏は、文字通りの“勝負の夏”になります。
お互いに健康に留意しつつ、都議選、総選挙躍進の先頭に立って奮闘することを固く誓いあって、閉会に当たってのあいさつといたします。みなさん、ともに頑張りましょう。(大きな拍手)