2021年6月19日(土)
河井元法相に実刑判決
大型買収 「選挙の公正 害する」
懲役3年 追徴金130万円
東京地裁
2019年夏の参院選をめぐる大型買収事件で、公職選挙法違反の罪に問われた元法相で元衆院議員の河井克行被告=自民党離党=の判決公判が18日、東京地裁であり、高橋康明裁判長は「民主主義の根幹である選挙の公正を著しく害する極めて悪質な犯行」として懲役3年、追徴金130万円の実刑判決を言い渡しました。
妻の案里元参院議員=同、有罪確定=と併せ、現職(当時)国会議員とその妻が選挙前に多額の現金を配った異例の事件は、法相経験者が実刑判決を受けるという重大な展開で一つの節目を迎えました。一方、弁護側は「事実認定も量刑も、到底承服できない」として即日控訴しました。
判決は克行被告が19年3月~8月にかけて、広島県内の自民議員や後援会員、選挙スタッフなど約100人に計約2700万円を提供したと認定。現金の趣旨を「(参院選で)案里元議員を当選させる目的で、元議員への投票や投票取りまとめの報酬として提供された」とし、選挙買収だったと結論付けました。
案里元議員が県議ら4人に計160万円の現金を提供したことについても、克行被告との共謀を認めました。
その上で、「被告の刑事責任は重く、同種事案の中でも際立って重い部類に属する」と指摘。現金提供先のリストをパソコン上で消去させるなどの証拠隠滅行為をしたことにも触れ、「反省の態度を示していることを考慮しても、相当期間の実刑に処するのが相当」としました。
公選法には買収資金を受け取った側も罪に問う規定がありますが、地元議員らは立件されておらず、改めて責任が問われます。
また、この選挙で自民党本部が河井陣営に異例の1億5千万円の資金を提供した経緯も解明されていません。党総裁だった安倍晋三前首相や官房長官だった菅義偉首相も、引き続き説明責任が問われます。