2021年6月23日(水)
英語民間試験断念へ
大学共通テスト 記述式問題も
文科省検討会議
文部科学省の検討会議は22日、2025年1月以降の大学入学共通テストに英語民間試験と記述式問題を導入することについて「実現は困難」とする提言案をまとめました。同省は提言がまとまり次第、導入断念を正式に決定する見通し。
同省は当初、英語民間試験、記述式問題とも20年度から導入する計画でした。
英語民間試験は、家庭の経済力や地域による格差が避けられない▽障害のある受験者への配慮が不十分▽目的や難易度の異なる複数の民間試験を同一基準で公平・公正に評価できない▽試験実施団体が試験対策の参考書を発行する利益相反―など批判が集中。国語と数学の記述式問題も、採点者の確保や採点精度への懸念、教育業界大手ベネッセの子会社が採点業務を受託した利益相反などが指摘されていました。
現役高校生や保護者、教員や塾講師、教育研究者が導入反対に立ち上がり、日本共産党など野党も導入延期法案を衆院に提出。萩生田光一文科相も、経済力や地域の格差解消は困難と認めざるを得なくなり、導入を延期するとともに、自身の下に検討会議を立ち上げました。
検討会議は提言案でこうした指摘を改めて列挙し、「課題を短期間で克服することは容易ではない」などと結論づけました。新型コロナウイルスの影響で英語民間試験の中止や延期が生じたことについて「外部の資格・検定試験に過度に依存する仕組みの課題も認識された」とも指摘しました。
新型コロナを機に議論になった大学の秋季入学については、一般選抜とは異なる多様な選抜基準を中心に推進すべきだとして、大学入学共通テストの実施時期の変更や回数増加は「適当ではない」としました。