2021年6月26日(土)
2021都議選
五輪・コロナ大争点 第一声にみる
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東京都議選が告示された25日、各党党首・幹部が都内各地で第一声を上げました。新型コロナウイルス対策や五輪問題という大争点をめぐって、「自・公・都民ファ」対日本共産党の対決構図が浮き彫りになりました。
「五輪か命か」正面対決
中止を訴える共産
開催突き進む自民
今回の都議選は、新型コロナの感染再拡大の兆候があらわれているなか、「五輪・パラリンピックを開催していいのか」が大争点となっています。この問題で、感染拡大の危険を無視して五輪開催強行に突き進む自民党と、「五輪より命を」「五輪中止し命を守れ」と訴える日本共産党との正面対決が鮮明になりました。
自民党本部の中庭で行った出陣式で演説した菅義偉首相は「東京はまだまだ(新型コロナ感染が)予断を許すことのできない、極めて厳しい状況にある」といいながら、「東京オリンピック・パラリンピック、開会式まで1カ月を切っている。徹底した対策を講じて、万全の準備の中でこの大会を進めていきたい」と五輪開催強行に固執。「人類の英知によってこの難局を乗り越えていく大会にしたい」と述べました。
しかし、五輪開会による感染拡大のリスクも、その対策についても何も語らずじまいでした。
これに対し、日本共産党の志位和夫委員長は、新宿駅西口での第一声で「問われているのは五輪と命とどちらを大切にするかだ」と指摘。追加リスクをゼロにはできないとする専門家の見解を紹介し、命を守る最良の方法は五輪を中止することだとズバリ提起し、人為的イベントである五輪は「政治が決断すればいつでも中止することはできる」と訴えました。
他方、公明党の山口那津男代表や都民ファーストの会の荒木千陽代表は、五輪開催については何も語らず。最大争点から逃げる姿勢を決め込みました。
都民ファ最高顧問の小池百合子東京都知事は、静養中で姿を見せませんでした。
コロナ封じ込めの道は
共産 三つの戦略示す
自公都ファ何も語れず
新型コロナ対策をめぐって、自公都ファが封じ込めの戦略をなにも語れなかったのも特徴です。
菅首相は「感染対策をしっかり講じ、切り札と言われるワクチン接種に全力をあげる」とするだけ。ワクチン頼みの姿勢があらわになりました。公明党の山口代表は、政府のワクチン購入・供給失敗でワクチン接種が遅れたことは棚にあげ、「公明党が一貫してワクチン接種を推進してきた」などと我田引水の“実績”自慢しました。都民ファの荒木代表は「(小池都知事は)命を削る行動だった」ともちあげるだけでした。
これに対して、「コロナ封じ込め」の戦略を示したのが日本共産党の志位委員長でした。志位氏は、(1)ワクチンの迅速接種と大規模検査をセットで(2)十分な補償と生活支援(3)医療を削る政治を改める―を提起。ワクチン接種がまだ行き渡らない現状や新たなデルタ株の脅威が広がる下で、検査による無症状感染者の保護隔離の重要性を明らかにしました。
都政の重要問題を問う
共産 四つの大転換訴え
自公都ファ維は触れず
菅首相は都政について「新しい東京づくりについて議論があると思います」と言うものの、具体的には語りませんでした。公明党の山口代表はワクチン接種以外に都政には触れませんでした。都民ファの荒木代表は、小池都政の“実績”を語るだけ。日本維新の会の馬場伸幸幹事長も具体的な都政については語りませんでした。
NHKが行った都議選候補者へのアンケートの質問項目には、新型コロナ対応や東京五輪・パラリンピック以外に、カジノを含むIR(統合型リゾート)の誘致、都心上空を通る羽田新飛行ルート、都立病院や公社病院の独立行政法人化、ジェンダー問題への基本的姿勢などが挙げられていました。しかし、自公や都民ファ、維新は、これら都政の重要問題について何も触れなかったのです。
一方、日本共産党の志位氏は(1)都立病院の独法化反対などの「ケア」に手厚い東京(2)大企業第一の都政から福祉・暮らし第一の都政(3)ジェンダー平等を進める都政(4)米軍の低空飛行をやめさせ平和な東京―など都政の大問題について全面的に訴えました。
自民・都ファ 論争回避で責任転嫁
小池都政を支える自民や都民ファは自らの責任を他に転嫁する発言を行いました。
自民の下村博文政調会長(党都連最高顧問)は、自粛要請に伴う飲食店などへの協力金の支給について「東京都が窓口になって、あまりにも遅いじゃないか」と小池都政を批判しました。しかし、「支援金」は国の政策です。支給の遅れについては野党から再三指摘されていました。
都民ファの荒木代表は五輪のコロナ対策について「IOCや組織委、政府のなかで都知事は都民の命とくらしを守るために無観客の提唱など行ってまいりました」と述べました。しかし、そもそも都民ファは開催そのものに反対しない一方、都政政策で五輪パラリンピックを「争点にしない」と論争を回避しています。どちらも責任転嫁の不誠実な態度です。