2021年6月29日(火)
主張
米軍機の低空飛行
都民の命脅かす無法を許すな
米軍のヘリコプターが東京都の新宿駅周辺など都心の上空で、日本の航空法に抵触する危険極まりない低空飛行を繰り返していることが大問題になっています。都民の安全と日本の主権を脅かす米軍の横暴勝手を許していいのかどうかは、7月4日投票の都議選で重要争点の一つです。
これで独立国と言えるか
米軍ヘリの都心での低空飛行が常態化していることは、今年2月に毎日新聞が報じました。それによると、昨年7月から今年1月の間に、新宿駅周辺上空で日本のヘリであれば航空法に違反する低空飛行を12回、その疑いがある飛行を5回確認したとしています。12回はヘリの高度が新宿駅近くのNTTドコモ代々木ビル(ドコモタワー、ビル先端までの高さ約270メートル)を下回り、6回は東京都庁展望室の202メートルとほぼ同じ高さで飛んでいたと報じています。
日本の航空法は、航空機の「最低安全高度」以下の飛行を禁止しています(第81条)。同法の施行規則は、この最低安全高度を「人又は家屋の密集している地域の上空」では「航空機を中心として水平距離六百メートルの範囲内の最も高い障害物の上端から三百メートルの高度」と定めています(第174条)。ドコモタワーを最も高い障害物とすれば、最低安全高度は約570メートルになります。
政府は、航空法の最低安全高度について「航空機が事故あるいは故障を起こした際に損害が生ずるおそれが少ない地点に不時着する等の応急措置をとれるような余裕を飛行高度として要求しているもの」で、「取材あるいは遊覧飛行を行うヘリコプターなどが低空飛行を行う際にその安全性を確保することを主な目的としている」と説明してきました(2010年4月8日、参院外交防衛委員会、前田隆平国交省航空局長=当時など)。米軍ヘリが最低安全高度を無視した飛行を繰り返すのは、都民の命にとって極めて重大です。
政府は、米軍ヘリの都心での低空飛行について「米側からは、ICAO(国際民間航空機関)のルールや(それに基づく)日本の航空法と整合的な米軍の規則に違反する飛行があったことは確認されていない、…各部隊には米軍の規則に従った飛行を徹底するよう改めて指示したという説明を受けた」(今年4月19日、衆院決算行政監視委員会、岸信夫防衛相)としています。しかし、本紙日曜版記者は6月3日にも、米軍ヘリが都庁(約240メートル)より低く飛んでいることを確認しています。
こうした無法な飛行が横行するのは、日米地位協定に基づく特例法によって、米軍が航空法の適用を除外されているためです。しかも、米軍が、横田基地(東京都福生市など5市1町)に所属するヘリ(UH1多用途ヘリ)の訓練空域と飛行ルートを都心上空に一方的に設定しているという主権侵害の実態も、日本共産党の塩川鉄也衆院議員や本紙が入手した資料で明らかになっています。
都議選での共産党躍進を
菅義偉首相も、小池百合子都知事も、米軍ヘリの都心での低空飛行に抗議一つしていません。これでは到底、独立国とは言えません。都議選では、米軍の低空飛行の中止と地位協定の抜本改定を訴える日本共産党を大きく躍進させることが必要です。