しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2021年6月29日(火)

吉川元農相に500万円 認める

東京地裁初公判 贈賄の鶏卵前代表

 元自民党衆院議員で元農林水産相の吉川貴盛被告(70)=収賄罪で起訴=に現金計500万円を渡したとして贈賄罪に問われた鶏卵大手「アキタフーズ」(広島県福山市)前代表の秋田善祺(よしき)被告(87)の初公判が28日、東京地裁(向井香津子裁判長)でありました。秋田被告は「間違いありません」と起訴内容を認めました。


 検察側の冒頭陳述によると、秋田被告は吉川被告の農水相在任中に大臣室などで計3回、養鶏業界に便宜を図ってもらう目的で計500万円の現金を提供したとされます。

 秋田被告は2018年11月21日、都内のホテルで開かれた吉川被告の大臣就任を祝う会に出席。吉川被告がトイレに行こうとした際に「就任おめでとうございます」と言い添え、現金200万円が入った封筒を上着のポケットにねじ込むようにして渡したといいます。

 19年3月26日には、秋田被告が大臣室で吉川被告と面会。帰り際に「要望書です。読んでおいてください」と伝え、ソファの上に現金200万円が入った封筒を置いて渡したとされます。

 現金提供の際に秋田被告は、家畜を快適な環境で飼育する「アニマルウェルフェア(動物福祉)」の理念に基づいて国際機関が示した基準案に反対するよう要望。その後、農水省は基準案に反対する立場を表明しました。

 秋田被告は同年8月2日にも、日本政策金融公庫から養鶏業界への融資条件緩和を要望する際、吉川被告に大臣室で現金100万円を手渡しました。

 秋田被告は、19年に吉川被告と河井克行元法相(58)の政治資金パーティー券(計534万円分)を購入した際、複数の社員が個人で買ったように偽装したという政治資金規正法違反の罪も認めました。政治資金収支報告書に記載する義務が生じない20万円以下の金額に分けたとみられます。

吉川被告 菅首相と親密

同期の“元側近”

 同事件で収賄罪に問われた吉川被告は、菅義偉首相と親密な関係にありました。

 18年8月20日には、札幌市内のホテルで吉川貴盛後援会が「菅義偉先生を囲む会」を主催。20年9月の自民党総裁選では、吉川被告が自らの支持者に菅首相を推薦する一文を出しています。

 吉川被告は、総裁選で菅首相誕生の流れをつくった二階俊博・自民党幹事長の派閥に所属していました。総裁選後は同派の事務総長に就任しました。

 アキタフーズは、河井被告=公職選挙法違反で実刑判決=による買収事件の関連先として検察から家宅捜索を受けていました。

 日本養鶏協会の副会長を務めた秋田被告は、河井被告から西川公也・元農水相を紹介され、西川氏を通じて吉川被告と面会したとみられます。

 吉川被告と河井被告は、ともに菅首相と当選同期の“元側近”です。いずれの事件でも真相解明の調査を拒む菅首相の責任が問われています。


pageup