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2021年7月1日(木)

主張

鶏卵汚職事件

行政をゆがめた疑惑解明せよ

 元農林水産相で元自民党衆院議員の吉川貴盛被告が業者から500万円の現金を受け取った汚職事件で、贈賄罪に問われた鶏卵生産大手「アキタフーズ」前代表の秋田善祺(よしき)被告の初公判があり、前代表は起訴内容を認めました。検察側は、秋田前代表が吉川元農水相に現金を渡した意図は、同社や養鶏業界に便宜を図ってもらう目的だったと主張しました。賄賂と引き換えに業界の利益のために行政がゆがめられた疑いは一層深まりました。菅義偉政権は真相の徹底解明に背を向けてはなりません。

現金提供と要望繰り返し

 検察側の冒頭陳述などによると、秋田前代表は吉川元農水相が在任中の2018年11月から19年8月、都内のホテルや大臣室で3回にわたって、合計500万円の現金を手渡したとされます。大臣室での面会の際、「要望書です。読んでおいてください」と言って、現金の入った封筒をソファの上に置いていくなどしました。

 前代表は、吉川元農水相と河井克行元法相らの政治資金パーティー券を名義を偽装して購入したとして政治資金規正法違反にも問われています。

 前代表は元農水相に、国際機関が示す家畜の飼育環境を厳しくする基準案を国内業者に不利にならないようにすることや、日本政策金融公庫の融資条件緩和を繰り返し求めていました。農水省は基準案に反対する立場を表明するようになりました。現金授受が政策に影響を与えた疑いは濃厚です。

 元農水相は現金の授受は認めていますが、賄賂とは認識していなかったと述べているといいます。しかし、職務に関して金品を受け取れば、明白に賄賂です。

 もともと鶏卵汚職事件は、河井元法相・案里元参院議員夫妻による大規模買収事件の捜査の中で浮上したものです。吉川元農水相と秋田前代表を引き合わせたのは、河井元法相と西川公也元農水相でした。西川元農水相は、自民党の「族議員」として長く農政に関与してきました。

 この事件に関連して、吉川元農水相と前代表の会食に同席した同省の事務次官ら6人も、接待を禁じた国家公務員倫理規程違反で処分されています。農水省の第三者委員会は6月初め、問題を検証した調査報告をまとめましたが、元農水相や前代表に聞き取りもしないで、「政策はゆがめられていない」と結論付けるなど、極めて不十分なものでした。

 それでも報告書は、鶏卵行政が「政治や生産者からの働きかけを受けやすい構造にある」などと指摘しました。今こそ根深い癒着にメスを入れる時です。

菅首相は責任を免れない

 吉川元農水相は、自民党の二階俊博幹事長の派閥の幹部で、昨年の自民党総裁選では菅陣営の事務局長を務めました。河井元法相も菅首相側近のひとりです。菅首相はひとごとではすまされません。

 吉川元農水相の鶏卵汚職事件や、河井夫妻の大規模買収事件、菅原一秀前経済産業相の買収事件など、安倍晋三政権から菅政権にかけて「政治とカネ」の事件が後を絶ちません。「森友・加計・桜」などの疑惑も未解明です。

 大激戦の東京都議選は、金権政治に反省がない菅・自民党政治に首都の有権者がノーの審判を下す重要な機会です。


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