2021年7月11日(日)
主張
CV22の湖上訓練
危険極まる低空飛行中止迫れ
米空軍横田基地(東京都)所属の特殊作戦機CV22オスプレイが青森県の小川原湖(東北町)上で訓練のため低空飛行を繰り返していたことが明らかになり、大きな問題になっています。低空で何度も旋回したり、湖面すれすれまで高度を下げ、激しく水しぶきを上げながら飛行したりする様子が動画で撮影されました。米軍はCV22が湖で4月15日、6月30日、7月1日に訓練したことを認め、今後も通告なく実施する方針を示したと報じられています。しかし、動画を見ればあまりに危険な訓練であることは明白です。菅義偉政権は強く中止を迫るべきです。
一歩間違えば大惨事に
小川原湖でのCV22の低空飛行は、日本共産党の市川俊光・東北町議が6月30日と7月1日に確認し、動画で撮影しました。2機のうち1機がホバリング(空中静止)をしながら人をつり上げ、もう1機がそれを警護するかのように周辺を旋回しています。いずれも夕方で、湖ではウナギのはえ縄漁や刺し網漁が行われていました。
4月15日にもCV22の同様の飛行が目撃されていたことがその後分かり、昨年秋にも同機が隊員を湖面からつり上げる訓練をしていたことが米軍関係者向け放送局(AFN)の映像で判明しました。こうした訓練が定期的に実施されているとすれば非常に重大です。
小川原湖は、シジミやシラウオ、ワカサギの水揚げが全国屈指であるなど、豊富な水産資源に恵まれ、「宝湖」とも呼ばれています。湖水浴やキャンプなどの観光地でもあります。ところが、湖に近接して米空軍の三沢基地(三沢市)や三沢対地射爆撃場(同市、六ケ所村)があるため、米軍機の事故が相次いでいます。
2018年2月には、三沢基地所属のF16戦闘機が離陸直後にエンジン火災を起こして2本の燃料タンクを湖に投棄し、全面禁漁に一時追い込まれました。19年11月には、同機が、湖に近い六ケ所村の牧草地に約230キロもの模擬爆弾を落下させています。また、CV22は今年6月、2機が山形空港に緊急着陸もしています。
CV22の小川原湖での低空飛行は、墜落などの事故を起こせば大惨事につながりかねません。漁業者や周辺住民の命と暮らしを脅かすとして、地元の漁協や三沢基地周辺の町内会などが強く抗議しているのは当然です。
7月14日から24日まで三沢基地を拠点にして米海兵隊普天間基地(沖縄県)の輸送機MV22オスプレイ4機などが三沢対地射爆撃場で訓練する計画も取りやめるべきです。
米軍に航空法の適用を
米軍機による無法な低空飛行は全国各地で激化しています。
東京では、横田基地などのヘリが日本の航空法に抵触する低空飛行を常態化させていたことが明らかになっています。同基地には7月に6機目のCV22が配備され、2024年ごろまでに10機に増強される計画です。同機による訓練がいっそう拡大する危険があります。四国や中国地方、鹿児島県南部、沖縄県などでも、米軍機の低空飛行が急増しています。
日本の主権を侵害し、国民を危険にさらす米軍機の低空飛行をやめさせ、航空法を米軍に適用するなど日米地位協定を抜本改定することがいよいよ必要です。